アンドリス・ネルソンスとボストン響の華やかなブラームス交響曲全集 (2016年11月ライヴ)

ブラームス交響曲全集 アンドリス・ネルソンス/ボストン交響楽団(2016年)

このアルバムの3つのポイント

ブラームス交響曲全集 アンドリス・ネルソンス/ボストン交響楽団(2016年)
ブラームス交響曲全集 アンドリス・ネルソンス/ボストン交響楽団(2016年)
  • ネルソンス×ボストン響の2016年11月のブラームス・チクルス
  • ボストン響から引き出した華やかな響き
  • 金管が目立つ演奏で太めの輪郭で描く旋律

ネルソンスはボストン交響楽団の音楽監督に就任してから、高い評価を得ていて、これまでにリリースされたショスタコーヴィチの交響曲のライヴ録音は3個とも米国のグラミー賞を受賞している。ボストン響だけではなく、リッカルド・シャイーの後任としてライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団のカペルマイスターも務め、ウィーンフィルとも2020年のニューイヤーコンサートへの登場や、2017-2019年のベートーヴェンの交響曲全集をライヴ録音で完成させている。今最も乗りに乗っている指揮者と言えるだろう。

2014年からボストン交響楽団の音楽監督を務めているアンドリス・ネルソンス。3年目となる2016年は、11月にブラームス・チクルスを実施した。

私もボストンに出張に行ったときに、2016年11月12日のボストン・シンフォニー・ホールでの演奏会を聴いてきたので思い入れ深い。この日は前半がエリック・ネイサン(Eric Nathan)による新作「the space of a door」の世界初演、そしてエレーヌ・グリモーがピアノ独奏を務めたブラームスのピアノ協奏曲第1番、そして後半がブラームスの交響曲第2番というプログラムだった。そのときの感想はFC2ブログの記事に書いているので興味あればご覧いただきたい。

【FC2ブログ】ボストンを興奮させたグリモーとアンスネス/BSOのブラームス!

公演のパンフレットにブラームスの交響曲はライヴ録音されると書いてあったが、そのCDが2017年5月にBSO Classicsレーベルからリリースされている。興味深いことに、ネルソンスとボストン響は第1番を11月8日・10日、第2番を11月11日・ 12日、第3番を11月15日・17日、そして第4番を11月18日・19日と、4つの交響曲を作曲順に演奏しているのだ。

それでは順番に紹介していきたい。

冒頭から強烈なサウンドで始まる。指揮者によっては悲痛な叫びのような内声を強調する演奏もあるが、ここでのネルソンスとボストン響は外面的な音をくっきりと出している。第1楽章のリピートは省略。伸びやかなサウンドと金管が心地よい。第2楽章や第3楽章の何ともうまいこと。ネルソンスとボストン響は実は牧歌的な曲のほうが合うのではないかと思ってしまう。第4楽章では吠えるような力強さ。実にパワフルだ。

ボストン・シンフォニー・ホールでもらったパンフレットでは、ブラームス・チクルスでは第2番だけ2016年11月12日のみ、他の3曲の交響曲は2日ずつ演奏されたはずなのですが、今回の交響曲全集の録音日を見ると第2番は11月11日と12日の日付。パンフレットに載っていない11月11日も演奏会があったのかは分からないが、いずれにせよ11月12日の公演では咳が出ないように対策して聴いた思い出がある。

ピアノ協奏曲第1番での大興奮のほうが印象深くて、交響曲第2番についての感想は少し薄いのだが、個々の楽器の音色が引き立ち、美しさとスケールある演奏だったが、旋律のラインが強くしっかりと出されていて、少しデフォルメされて迫力が強すぎる感じがしたが、改めてこの録音を聴いてみると、あの時感じた輪郭の太さはこの録音でも感じる。

4つの交響曲で最も優雅な曲が第3番。個々の楽器が伸びやかで良い響きをしている。第4楽章ではボストン響だけに金管が力強い。というか若干強すぎる。

冒頭のしっとりとしたメロディを演奏するところはオーソドックスだと思いきや、次のフレーズでは個々の楽器のバランスが独特。斬新なのは金管の扱い。弦や木管の豊かな響きと溶け込ませるように金管を扱う演奏が多いのだが、ここではネルソンスは金管をかなり目立たせて吹かせている。かつてラトビア国立歌劇場管弦楽団の首席トランペット奏者を務めていたネルソンスだからこそ、金管の奏者に見せ場を与えたのだろうか。良いか悪いかは別にして、金管が差し色を入れることによって、今まで聴いたことがない響きが出せている。個人的には、ブラームスの音楽がケバケバしくなった感じがして、好きではないが。

第2楽章は穏やかで心地よく、ヨーロッパっぽいオーケストラの響きだなと思う節もあるのだが、第3楽章になるとだいぶ激しくて、あ、やっぱりアメリカのオーケストラだと思い直す。第4楽章もとても力強い。長いフルートのソロでは、息継ぎの音まで聞こえる。コーダでもやはり金管が一番目立っている。

ボストン響とネルソンスの今を如実に表している。音はイキイキとして、楽団員と指揮者との信頼がしっかりと築かれている様子が伺える演奏。

オススメ度

評価 :3/5。

指揮:アンドリス・ネルソンス
ボストン交響楽団
録音:2016年11月8,10日(第1番), 11月11, 12日(第2番), 11月15, 17日(第3番), 11月18, 19日(第4番), ボストン・シンフォニー・ホール(ライヴ)

【タワレコ】Brahms: Symphonies No. 1-4(3CD)

iTunesで全集を試聴可能。

特に無し。

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