このアルバムの3つのポイント
- ベーム×ウィーンフィルの安心して聴けるブルックナー
- 柔らかさと自発的な響き
- 理想的なハーモニー
ベームのブルックナー録音はマストリッスン
オーストリア出身の名指揮者カール・ベームは、20世紀を代表する指揮者の一人です。特にドイツ=オーストリア音楽に定評があり、アントン・ブルックナーは限られた曲しか指揮しませんでしたが、演奏はどれも高評価です。
ベームのブルックナーと言えばウィーン・フィルハーモニー管弦楽団とのものが人気ですが、ウィーンフィルがかつてデッカ・レーベルと契約していために1970年9月の交響曲第3番「ヴァーグナー」と1973年11月のブルックナーの交響曲第4番「ロマンティック」はデッカでのレコーディングとなり、1976年2月の交響曲第8番の録音と今回紹介する1976年9月の交響曲第7番はベームが契約していたドイツ・グラモフォンとの録音です。
他にも正規録音ではないですが第7番はいくつかライヴ録音も出ています。
ブルックナー生前から関わりがあり、交響曲第3番(第2稿、第3稿)、第8番などで初演をおこなったウィーンフィルはこの作曲家とつながりが深く、ブルックナーを喜ばせるだけではなく、第3番の初稿では演奏不可能として初演を拒否したり、第2稿の初演では練習不足もあって失敗し、意気消沈させるなど、ブルックナーに酸いも甘いも経験させたゆかりのあるオーケストラ。
こちらの記事で紹介したように名指揮者ベルナルト・ハイティンクが2019年8月のインタビューで「ウィーン・フィルは特別です。例えばブルックナーの交響曲でも音色と方向性がすばらしくて大好きなんです。」と語るほど、ウィーンフィルのブルックナーには特別感があります。
誰が指揮してもウィーンフィルのブルックナーはほぼ評価が高く(例外は情熱がほとばしりすぎたクラウディオ・アバドぐらい?)、交響曲第7番についても何度も録音していて、1965年10月のゲオルグ・ショルティとの劇的なレコーディング、1986年6月のカルロ・マリア・ジュリーニとの録音、1989年4月のヘルベルト・カラヤン最後のレコーディング、2019年8月のベルナルト・ハイティンクの最後となったザルツブルク音楽祭ライヴなどがあります。
中でもベームとの演奏はオーソドックスで定評があります。
ウィーンの美音を活かしてゆったりとして
ベームはウィーンフィルの美音を活かし、第1楽章では実に伸び伸びとしています。弦も心地良いですし、木管もふくよか。そして金管も柔らかくて自然豊かな演奏を聴かせてくれます。
第2楽章でもウィーンフィルの柔らかくて自発的な響きで聴き手を魅了します。スケルツォの第3楽章でも安定した運びでベームは音楽が自然に生まれてくるかのように進めていきます。第1楽章や第2楽章に比べると構造的に不思議なつながりをしている第4楽章でも、ベームのタクトではこう進むべきという確たる信念があるように無理なく進んでいきます。
まとめ
ベームとウィーンフィルによる唯一無二のブルックナー。オーソドックスで安心して聴けるアルバムです。
オススメ度
指揮:カール・ベーム
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1976年9月26日-28日, ウィーン楽友協会・大ホール
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試聴
iTunesで試聴可能。
受賞
特に無し。
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