レコードアカデミー賞受賞! ジュリーニ&コンセルトヘボウ管とのドビュッシー交響詩『海』他 (1994年)

ドビュッシー交響詩「海」他 カルロ・マリア・ジュリーニ/コンセルトヘボウ管(1994年)

このアルバムの3つのポイント

ドビュッシー交響詩「海」他 カルロ・マリア・ジュリーニ/コンセルトヘボウ管(1994年)
ドビュッシー交響詩「海」他 カルロ・マリア・ジュリーニ/コンセルトヘボウ管(1994年)
  • ジュリーニ晩年のコンセルトヘボウ管とのいぶし銀の演奏
  • 「海」、「牧神」、「パヴァーヌ」、「マ・メール・ロワ」、フランス音楽の名作を網羅
  • レコードアカデミー賞受賞

イタリア出身の指揮者カルロ・マリア・ジュリーニは、1984年に夫人の病気のためにロサンジェルス・フィルハーモニーの音楽監督を退任し、それ以降は演奏活動をヨーロッパ内に制限しました。

1980年代後半から1990年代は特定のオーケストラのポジションには就かず、フリーの指揮者としてベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団、バイエルン放送交響楽団、ミラノ・スカラ座フィルハーモニー管弦楽団など、ヨーロッパの名門オーケストラに客演し、録音も多く遺しています。

以前紹介したミラノ・スカラ座とのベートーヴェンの交響曲集の録音では、かなりゆったりとしたテンポで、音楽を細部まで分解しているかのように深い解釈でしたし、第8番では歌心に溢れた演奏でした。

今回紹介するアルバムはドビュッシーとラヴェルの録音で、オーケストラはロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団

オランダの名門で、ふくよかな響き、ツヤのありビロードのように滑らかな金管が持ち味。ドイツ=オーストリア音楽でもロシア音楽でもどれもうまいのですが、こうしたフランス音楽もよく合います。渋くていぶし銀のような深みのある演奏を聴かせてくれます。

カルロ・マリア・ジュリーニが初めてソニークラシカルでコンセルトヘボウ管と録音したのが1989年のこと。そのときにドヴォルザークの交響曲第8番と、ラヴェルの「マ・メール・ロワ」が収録されました。ドヴォルザークの交響曲も渋い演奏で私もよく聴いていたので、また今度こちらのWebサイトでも紹介していきたいと思います。

そして1994年2月にライヴ録音でドビュッシーの交響詩「海」、「牧神の午後への前奏曲」、そしてラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」が収録され、先ほどの「マ・メール・ロワ」と合わせて1枚のCDとしてリリースされたのがこのアルバムです。

このCD最初の曲は交響詩「海」。遅めのテンポで、悠然とした海です。

弦と木管、金管が伸びやかなメロディを聴かせ、しっとりとした演奏になっています。金管をそれほど強く鳴らさないので、きらびかさや派手さはないのですが、コンセルトヘボウ管の渋さが出ています。

続く「牧神の午後への前奏曲」はコンセルトヘボウ管ということもあり、シンフォニックなハーモニーで、単にうわべだけの響きではなく、メロディラインから低音まで、しっかりと厚みのある音色で演奏しています。

ゆったりとしたテンポで、ジュリーニの指揮で歌うように旋律が奏でられています。「牧神」特有の気だるさはなく、演奏はまろやかで耳障り良く、聴きやすいです。

「亡き王女のためのパヴァーヌ」は、ラヴェルの作品の中で最も美しい曲といっても過言ではないでしょう。

ラヴェルは交通事故で記憶をなくしてしまう事故があったが、その後にこの「亡き王女のためのパヴァーヌ」を聴いて、「この曲はなんて美しいのだろう。誰が書いた作品なのだろうか。」と自らの曲なのにこのような感想を言ったと伝えられています。

ジュリーニの流れるようなたっぷりとした指揮が、この曲には合います。輪郭はぼやっとして、おぼろの中でじんわりと染み入る美しさ。

「マ・メール・ロワ」とは、フランス語でマザーグースを意味します。

ラヴェルは友人の幼い子供のために、童話を元にしたピアノ連弾曲を作曲しました。その連弾曲をバレエ用にオーケストレーションしたものが、このオーケストラ版「マ・メール・ロワ」。童話がベースにあるため、曲全体は柔らかく、優しいです。

ジュリーニはこの曲を得意としており、1956年にフィルハーモニア管弦楽団、1979年にロサンゼルス・フィルハーモニー管弦楽団と録音を行い、この1989年のコンセルトヘボウ管との録音が正規録音としては3度目になります。

ジュリーニのたっぷりとした指揮が、この曲に見事にハマっています。柔らかい音の出し方、本当にガチョウが鳴いているかのような楽器の鳴らし方、豊かな響き。名門コンセルトヘボウ管の良さが申し分なく発揮されています。このCDの中で「マ・メール・ロワ」がやはり異色の素晴らしさです。

フランス音楽のきらびやかさとは違うでしょうが、いぶし銀のような渋いコンセルトヘボウ管のサウンドが、うわべだけではないドビュッシーとラヴェルの奥行きや深みをうまく引き出しています。

晩年のジュリーニの名演の一つでしょう。

オススメ度

評価 :5/5。

指揮:カルロ・マリア・ジュリーニ
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
録音:1989年11月23, 24日(マ・メール・ロワ), 1994年2月23-25日, コンセルトヘボウ(1994年はライヴ)

【タワレコ】ドビュッシー&ラヴェル:管弦楽曲集

iTunesで試聴可能。

1995年度の日本のレコード・アカデミー賞「管弦楽曲部門」を受賞。

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