ジュリーニのドヴォルザーク
今日は久しぶりにイタリアの名指揮者カルロ・マリア・ジュリーニの演奏を紹介。1993年2月、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団を指揮したドヴォルザークの交響曲第7番のアルバムです。こちらの記事で書いたアンドリス・ネルソンスとウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の来日公演で予定しているドヴォ7の予習でもあります。
ドヴォルザークはジュリーニにとって長年のレパートリーで、録音でもEMI (現ワーナー)レーベルでフィルハーモニア管弦楽団と交響曲第9番 (1961年)、第8番 (1962年)、そしてロンドン・フィルハーモニー管弦楽団と第7番 (1976年)を録音。ドイツ・グラモフォンではシカゴ交響楽団と1977年に第9番、第8番を1978年(紹介記事)があります。そしてソニーレーベルで晩年にコンセルトヘボウ管と後期交響曲、第8番(1990年)、第9番 (1992年)、第7番 (1993年)を録音したジュリーニ。
共通しているのは、伸びるような旋律。イタリア出身でカンタービレを意識したジュリーニの特徴が出ています。
コンセルトヘボウの重厚感とカンタービレ
この演奏はジュリーニが晩年に客演したコンセルトヘボウ管との1993年2月におこなったセッション録音。
Allegro maestoso で始まる第1楽章ですが、ジュリーニはアレグロというよりもアンダンテぐらいのゆったりさで恰幅良く進めます。晩年のジュリーニはテンポを遅めにとっていましたが、冒頭のヴィオラとチェロによる主要主題の提示ではコンセルトヘボウの残響も考慮されて重厚な響きを生み出しています。
コンセルトヘボウ管は1988年のシーズンからリッカルド・シャイーに首席指揮者が代わり、ベルナルト・ハイティンク時代のオランダらしい響きから、明るい音色と機動性が備わるモダンな響きに変わってきた時代ですが、ジュリーニの元で再び重厚なコンセルトヘボウ・サウンドを取り戻したかのようです。
続くクラリネットの旋律では歌心が意識され、ドヴォルザークの音楽がカンタービレで伸びるように奏でられます。ジュリーニのドヴォルザークは、チェコらしさよりもドイツの構築性とイタリアの歌謡性が合わさったよう。
第2楽章でもオーボエ、クラリネット、ファゴットによる主題が伸びやかに引き出されています。トラックの2:31あたりでは「ター タタタ タタタ」とジュリーニの声も聴こえてきます。まさにカンタービレの指揮者。
第3楽章のスケルツォでは楽譜のスラーをレガートにつなげて滑らかさが特徴。第4楽章もコンセルトヘボウ管の重厚感でオペラのようにドラマティックな仕上げ。
以前紹介したジョージ・セル/クリーヴランド管弦楽団 (1960年)のレコーディングが気品と高潔さの名演だとしたら、このジュリーニ/コンセルトヘボウ管は歌心と重厚さの名演と言えるでしょう。
オススメ度
指揮:カルロ・マリア・ジュリーニ
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
録音:1993年2月10-13日, コンセルトヘボウ
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廃盤のため無し。
試聴
Apple Music で試聴可能。
受賞
特に無し。
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