今日はアンドリス・ネルソンスの指揮による演奏を紹介します。

音楽監督を務めるボストン交響楽団とショスタコーヴィチ、ブラームス、首席指揮者のライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団とブルックナー、そして客演でウィーン・フィルハーモニー管弦楽団ベートーヴェンの交響曲全集を完成させてきたネルソンス。実はマーラーもウィーンフィルとチクルスを進めています。

2022年8月のザルツブルク音楽祭ではマーラーの交響曲第5番をメインとするプログラム。3年後の2025年9月にBlu-ray、DVD がリリースされました。2023年ザルツブルク音楽祭でのマーラー交響曲第4番も同じ日に販売開始です。

アンドリス・ネルソンス指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 ザルツブルク音楽祭2022

実はマーラーを生で聴きたいと思ったのですが、直近で良さげなコンサートがなかったので、じゃあ映像で観るかと思って買いました。

バルトークとマーラーのプログラム

このコンサートの曲目は以下のとおり。

バルトーク ピアノ協奏曲第2番
 ピアノ独奏: イェフィム・ブロンフマン
(アンコール) シューマン アラベスクOp.18
マーラー 交響曲第5番

コンサートマスターはライナー・ホーネック。ティンパニはトーマス・レヒナーでした。

ウィーンフィルの過去の公演アーカイブで検索すると、ザルツブルク音楽祭2022はクリスティアン・ティーレマンフランツ・ウェルザー=メストリッカルド・ムーティなども指揮をしていて、ネルソンスが指揮した演奏会は8月7日(日) 11:00と8日(月) 20:30開演の2つ。

マーラーの交響曲第5番は1902年夏に完成され、ウィーン時代の作品。この年の3月にはアルマと結婚しているので絶頂期の時代と呼べるでしょう。画家のグスタフ・クリムトが「ウィーン分離時代」と言われる作品を描いているのもこの時期。このネルソンスとウィーンフィルの演奏にはそうしたウィーンの退廃感や気だるさ、耽美さの香りがします。

第1楽章冒頭のトランペット独奏はユルゲン・ペッハーカー。終演後にもネルソンスが真っ先に称えたのも彼でした。まだ40代ながら巨匠感漂うネルソンスの指揮は、スタイリッシュというよりは大振りですが、巨大な爆発を起こした後に、第1主題をテンポをぐっと落としてアンニュイな気配に変えてしまいます。さらに続く第2主題ではしおらしく歌わせ、マーラーのこの作品が持つ複雑な表情を描き分けていきます。

第2楽章でもテンポは抑えたままで第1楽章からのつながりを感じさせます。第3楽章スケルツォでは軽快なリズムに色とりどりの花が開くよう。

第4楽章はネルソンスのもう一つの魅力が満開。同じくラトビア出身の指揮者マリス・ヤンソンスも官能的な美しさを引き出すのに長けていましたが、この楽章ではネルソンスの感性が光ります。手のひらで掬うと消えてしまうかのような儚い美しさに時が経つのを忘れて聴き入ってしまいます。

そして第5楽章はこれまでの集大成のように祝祭的な華やかさ。テンポはルバートさせることなく堂々としていて、ウィーンフィルの豊かな響きで伽藍のようなフィナーレを結びます。

ウィーンフィルとのコンビで気だるさや耽美さを併せ持つマーラーを聴かせてくれたネルソンス。大満足です。

オススメ度

評価 :5/5。

ピアノ:イェフィム・ブロンフマン
指揮:アンドリス・ネルソンス
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:2022年8月7, 8日, ザルツブルク祝祭劇場 (ライヴ)

CMajor のYouTube 公式チャンネルで一部を閲覧可能。

新譜のため未定。

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