このアルバムの3つのポイント

ショスタコーヴィチ交響曲全集 マリス・ヤンソンス/バイエルン放送交響楽団他(1988-2005年)
ショスタコーヴィチ交響曲全集 マリス・ヤンソンス/バイエルン放送交響楽団他(1988-2005年)
  • マリス・ヤンソンスのショスタコーヴィチ交響曲全集の第1弾
  • レニングラードフィルとのバランスの取れた「レニングラード」
  • オランダのエジソン賞を受賞

ラトビア(旧ソ連)出身の指揮者、マリス・ヤンソンスはショスタコーヴィチを得意としていました。レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団(現サンクトペテルブルク・フィルハーモニー交響楽団)の副指揮者を務めていた1986年の来日公演でも当時の常任指揮者・音楽監督のエフゲニー・ムラヴィンスキーの代役として、ショスタコーヴィチの交響曲第5番とチャイコフスキーの交響曲第4番で壮絶な演奏をおこなったと言われています。

ヤンソンスはEMIレーベル(現ワーナー)に1988年から2005年にかけてショスタコーヴィチの15の交響曲を録音し、全集を完成させています。オーケストラがバラエティ豊かで、レニングラードフィルの他に、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団、バイエルン放送交響楽団、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、オスロ・フィルハーモニー管弦楽団、ピッツバーグ交響楽団、フィラデルフィア交響楽団を振り分けています。

その後も首席指揮者を務めたロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団やバイエルン放送響と、ライヴ録音でショスタコーヴィチの交響曲第7番「レニングラード」などを録音しています。

「レニングラード」と言えば、ヤンソンスは2006年1月のロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団とのライヴ録音でもオランダのエジソン賞を受賞しています。まろやかでゴージャスなコンセルトヘボウ・サウンドを活かした名演でした。

一方で交響曲全集の最初を飾った1988年4月のレニングラードフィルとの旧録音では、オーケストラはレニングラードフィルですが、録音場所はノルウェーのオスロ。ヤンソンスが首席指揮者を務めていたオスロフィルの本拠地オスロ・コンサート・ホールでの録音です。このアルバムもオランダのエジソン・クラシック賞を受賞しています。

まるで室内楽のようにソロの楽器が際立っていて、伴奏と主旋律との対比がくっきり出ています。第1楽章の軍隊の行進を思わせる部分ではトランペットが若干裏返っているところもありますが、それ以外はレニングラードフィルの演奏も安定しています。ヤンソンスがリードするバランスの良いハーモニーも見事ですし、第3楽章の美しさは後に「音楽の饗宴」と評されるヤンソンスの音楽作りに共通しています。

コンセルトヘボウ管との再録音のほうがオーケストラ全体でスケールの大きな演奏でしたし、レニングラード盤と同時期の1988年6月にレナード・バーンスタインが37年ぶりにシカゴ交響楽団を指揮してライヴ録音した交響曲第7番もあって、こちらのほうがより感情がこもって最終楽章は勝ち誇るような壮大さがありました。

その一方で、このレニングラード盤はソロの演奏が際立っています。

ヤンソンスのショスタコーヴィチ交響曲全集の最初を飾ったレニングラードフィルとの交響曲第7番「レニングラード」。個々の旋律が際立つ秀演です。

オススメ度

評価 :4/5。

指揮:マリス・ヤンソンス
サンクトペテルブルク・フィルハーモニー交響楽団(レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団)
録音:1988年4月22, 23日, オスロ・コンサート・ホール

iTunesで試聴可能。

1989年のオランダのエジソン・クラシック賞の「SYMFONISCHE MUZIEK」を受賞。

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