このアルバムの3つのポイント
- 20代のクラウス・マケラのデッカ・デビュー盤
- 首席指揮者を務めるオスロフィルとのシベリウス
- オランダ・エジソン賞のデビュー部門を受賞
20代で引く手あまたのクラウス・マケラ
今年も数多くのクラシック音楽の活動がありましたが、最も盛り上がったのが、フィンランド出身で1996年生まれの指揮者クラウス・マケラ。まだ26歳という若さでノルウェーのオスロ・フィルハーモニー管弦楽団とフランスのパリ管弦楽団の首席指揮者を兼任し、さらにこちらの記事で紹介したように2027年からはオランダの名門ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の首席指揮者に就任する予定です。
そのマケラが2022年10月にパリ管弦楽団と初の来日公演を行いました。マケラは自身のTwitterのアカウント(@klausmakela)を持っていますが、こちらは東京に滞在したときのツイート。
今年は日経新聞でもマケラの記事が目立ちます。
【日経新聞】マケラ指揮、東京都交響楽団 瞬時に聴衆惹きつける26歳 (2022/07/12)
【日経新聞】円安が一流オーケストラ来日に影 コスト高で激減も (2022/09/12)
【日経新聞】珍しいオペラや大物オーケストラの公演相次ぐ (2022/09/21)
【日経新聞】マケラ指揮パリ管弦楽団 臆せず煽ってバランス保つ (2022/10/26)
【日経新聞】指揮界にフィンランド旋風 マケラなど若手躍動 (2022/11/13)
2番めのコスト高の記事では、「世界中からオファーが殺到しているマケラとパリ管の組み合わせは、今年を逃したら次はいつ呼べるか分からない」と、パリ管を招聘したエイベックス・クラシックス・インターナショナル株式会社の中島社長のコメントが掲載されています。
若手の指揮者でこれだけ一般の方々にも話題になるのは、ベネズエラ出身のグスターボ・ドゥダメル以来じゃないでしょうか。すごい熱を感じます。
クラウス・マケラのデビュー盤
そのクラウス・マケラのデッカ・レーベルでのデビュー盤として、2022年3月にリリースされたのが、オスロフィルとのシベリウスの交響曲全集。交響曲第1番から7番までと、交響詩『タピオラ』Op.112、交響曲第8番からの3つのフラグメント(ティモ・ヴィルタネン校訂)が含まれています。
シベリウスと同じフィンランド出身で、シベリウス音楽院で学んだマケラが指揮で、オーケストラはシベリウスを得意とする同じく北欧ノルウェーのオスロ・フィル。この時点で楽しみしかないのですが、このアルバムは2022年のオランダのエジソン賞のデビュー部門を受賞していて、早くも高い評価を受けています。
マケラのレコーディングは、今のところ本アルバムしかないため、パリ管の来日後にフィーバー一時「在庫わずか」となりオンラインでも購入が待たされましたが、今はまた「在庫あり」に回復しています。
私もApple Music の配信でずっと聴いていたのですが、マケラのデビュー盤ということもありCD でも持っておきたいと思い、購入しました。
自然体と透明感
シベリウスの交響曲は第1番のような情熱的なものから、第2番、5番の人気曲のようなフィンランドの情景が浮かぶような音楽もあれば、第4番、7番のような内省的なものもあって幅広いです。共通するのは響きの透明感で、ブラームスのようなシンフォニックな響きを目指していなかったシベリウスの交響曲。
マケラとオスロ・フィルはシベリウスの作品を素晴らしく引き出しています。まるで湧き立つような自然体の響きで、透き通った最小限の響きが実に見事。交響曲第1番のオーケストラと一体となった若さ溢れる勇ましさもあれば、後期の交響曲での侘び寂びが本当にうまいです。
指揮を学ぶ前にチェロをやっていたというだけに、マケラの指揮では低弦がしっかりとハーモニーを支えています。
まとめ
今年の話題をさらった指揮者クラウス・マケラのデビュー盤。自身のルーツでもあるフィンランドの作曲家、シベリウスの交響曲全集で勝負する彼の意思と、それを裏打ちする指揮者としての才能を感じる、充実したアルバムです。
オススメ度
指揮:クラウス・マケラ
オスロ・フィルハーモニー管弦楽団
録音:2021年2月4, 5日(第2番), 2月11, 12日(第3番&5番), 2月18, 19日(第4番), 3月4, 5日(第6番), 3月11, 12日(第7番), 5月25, 26日(第1番), 5月31, 6月1日(タピオラ), 6月1日(3つのフラグメント), オスロ・コンセルトフス
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試聴
Apple Music で試聴可能。
受賞
2022年のオランダのエジソン賞のデビュー賞受賞。
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