本とクラシック音楽の第4弾
少し間が空いてしまいましたが、今日は書籍と相性の良い(と思う)クラシック音楽を紹介する記事を書きます。
前回第3弾では【本とクラシック音楽】夏目漱石『こころ』とマーラー交響曲第9番の組み合わせでした。
今回は、東野 圭吾 著『容疑者Xの献身』と、ロベルト・シューマン作曲ピアノ協奏曲イ短調Op.54の組み合わせです。

東野圭吾の代表作の一つ、『容疑者Xの献身』
『容疑者Xの献身』は先日亡くなられた東野 圭吾の代表作の一つで直木賞を受賞した名著。映画化され、そちらも報知映画賞 (最優秀主演男優賞)、日本アカデミー賞 (優秀作品賞、優秀助演男優賞、優秀助演女優賞)などを受賞しています。
ガリレオ先生こと天才科学者、湯川 学の大学同期の石神 哲哉が物語の中心人物。石神は高校の数学教師を務めていますが、人生に行き詰まり自殺を考えたところにアパートの隣の部屋に越してきた花岡 靖子と美里の存在に救われ、靖子が働く弁当屋に通い、密かに恋心を抱きます。平穏な生活が一変するのは靖子の元夫の富樫 慎二。彼が靖子たちの家を突き止め、暴力を振るい、金をせがみます。貧乏神のようにまとわりつく富樫に美里が反撃したことに怒り狂った富樫が暴れ、命の危険を感じた母娘は成り行きで富樫を殺めてしまいます。
天才数学者である隣室の石神を誤魔化すことはできず母娘は事態を明らかにしますが、石神は後始末は自分でするからと言って、母娘にアリバイ作りをさせて後の警察の追及から逃れるようにします。それを最終的に解決したのが湯川先生ですが、この作品はミステリーという枠を超えて、石神と母娘の絆、歪んでいるとも言える「愛」が重要なテーマ。
シューマンのピアノ協奏曲をケンプの無骨な愛で
一方で、シューマンのピアノ協奏曲は彼がクララと結婚した翌年である1841年に彼女のためにピアノと管弦楽のための幻想曲イ短調を作曲しました。1845年にそれを改作し、第2楽章の間奏曲と第3楽章フィナーレを追加して今のピアノ協奏曲の形になっています。初演はクララがピアノ独奏、フェルディナント・ヒラー指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団が演奏を務めました。
シューマンのクララへの愛を感じる音楽、そしてクララもロベルトの作品を世に広めようと繰り返し演奏した絆を感じる作品。『容疑者Xの献身』を読みながら聴くと合うと思います。
シューマンのピアノ協奏曲も名演が多いですが、この本と一緒に聴くなら流麗なのも情熱的なのも少し違います。石神のような不器用な人間が愛するかのような演奏のほうが合います。それが、ドイツの名ピアニストのヴィルヘルム・ケンプの独奏、ラファエル・クーベリック指揮バイエルン放送交響楽団の録音。
ベートーヴェン弾きとして定評のあるケンプですが、彼のシューマンはロマン派の弾き方ではなく、古典派の延長にあるような素朴なもの。これがシューマンのピアノ協奏曲になると無骨な感じがして、それでいて人の温もりを感じるような奥深さがあります。
本とクラシック音楽、次もお楽しみに。






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