このアルバムの3つのポイント
- オットー・クレンペラーとフィルハーモニア管によるベートーヴェン交響曲全集からの「英雄」
- 明るい音色でイキイキと
- じっくりと雄大に
オットー・クレンペラーとフィルハーモニア管のベートーヴェン交響曲全集
20世紀を代表する指揮者の一人、オットー・クレンペラーは、1950年代後半にイギリスのフィルハーモニア管弦楽団とベートーヴェンの交響曲全集を完成させました。
EMIレーベルのために1945年に創設されたフィルハーモニア管は、オットー・クレンペラー、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、ヘルベルト・フォン・カラヤンなどが客演することで短期間で演奏水準が上がったと言われています。
以前の記事でまとめましたが、1951年から1955年にかけてカラヤンとのコンビでベートーヴェンの交響曲全集を完成させたフィルハーモニア管。フレッシュな演奏で、後のカラヤンの再録音では聴かれないアプローチがあり、私も愛聴しています。
オットー・クレンペラーは1959年からフィルハーモニア管の首席指揮者に就任していますが、カラヤンとの交響曲全集が完成させた直後からクレンペラーも交響曲全集を開始させています。
全集で1記事にしようと思っていたのですが
以前の記事で、ワーナー・クラシックスの輸入盤CD BOXが廉価で買えることを紹介しました。
クレンペラーとフィルハーモニア管のベートーヴェン交響曲全集&序曲集も10枚入りで1,990円という格安。全て聴いてから記事にまとめようと思っていたのですが、最初に聴いたディスク2の交響曲第3番「英雄」(1959年)が予想以上に衝撃的で、まずはこの演奏だけで記事を書こうと思います。
なお、このCD BOXには1955年にキングズウェイ・ホールでレコーディングされたものもあります。こちらとの比較はまた後日書きたいと思います。
じっくりと雄大に
第1楽章の冒頭の和音だけで、もう虜になってしまいます。明るい音色でタン、タン、と希望に満ちたファンファーレ。とにかくハーモニーがよく考えられていて、とてもクリアに聞こえます。
テンポはややゆったりとしていて、雄大に描かれていきますが、決して遅いと感じることはありません。第2楽章でも、響きが今まで聴いてきたレコーディングとは一線を画すような演奏。
第3楽章のディテールまでくっきりと描かれていますし、第4楽章でもゆったりとした流れの中で個々の楽器がクリアに聞こえます。
私はそこまでクレンペラーを聴き込んでこなかったのですが、このレコーディングを聴くと今からでも聴き始めても遅くない、そんな気持ちになってきました。
まとめ
オットー・クレンペラーがフィルハーモニア管と二人三脚で演奏した「英雄」。じっくりとしたテンポで雄大に描かれ、魔術師のような響きに驚かされるばかりです。
オススメ度
指揮:オットー・クレンペラー
フィルハーモニア管弦楽団
録音:1959年10月29日, 11月11-13日, アビー・ロード第1スタジオ
スポンサーリンク
試聴
特に無し。
受賞
特に無し。
コメントはまだありません。この記事の最初のコメントを付けてみませんか?