このアルバムの3つのポイント
- これがフルトヴェングラーか! とにかくすごい演奏
- ウィーンフィルによる第7番までと、ストックホルムフィルの第8番
- 1951年のバイロイトの第九も!
食わず嫌いだったフルトヴェングラーをついに
クラシック音楽のレコーディングをどこまでさかのぼって聴くか、人によってそれぞれだと思います。私は音質が良好なステレオ録音以降のものを聴くようにしているので、古くても1950年代後半からのレコーディングが多いです。いくら往年の名演奏家の名演でも音質が悪くて聴くに耐えられないものだったら、現代の演奏家を探したほうが良い、そう考えています。現代の演奏家はまだ評価も確立していない場合もあるので、賭けではありますが、CDを買っても不満に思うこともありますが、その分面白さがあります。
ただ、ドイツの名指揮者、ヴィルヘルム・フルトヴェングラーだけは聴いたほうが良い、そう考えるようになってきました。以前からフルトヴェングラーの評価は不動のものでしたが、10年以上前に図書館で借りたフルトヴェングラーの演奏を聴いても、音質が悪すぎて正直聴くに耐えられなかったものでした。しかし、以前この記事で紹介した百田尚樹さんによる「至高の音楽」でもフルトヴェングラーの演奏は色々な曲の推奨盤として挙がっていましたし、ネットの記事やレコードショップのレビューを見ても、フルトヴェングラーだけは別格のように扱われています。
決め手は価格990円
先日の記事で紹介したように、タワーレコードでワーナー・クラシックスのセールスが開催中で、そこでは2010年にリマスターされたフルトヴェングラーのベートーヴェン交響曲全集がCD5枚入りで何と990円。しかも第九は「バイロイトの第九」として定評のある、1951年のバイロイト音楽祭でのライヴ録音です。この1枚だけでも990円の価値はあるだろうなと思って、早速買ってみました。
電撃が走った演奏
そして1日でベートーヴェンの9つの交響曲全てを聴いてみましたが、もう、電撃が走ったようにしびれていました。こんなにすごいのか、と。音質も思ったより良好で、第6番「田園」と第8番の録音だけはひどかったですが、それ以外はリールの回転音などのノイズもあまり聞こえず演奏に集中することができました。
交響曲第1番、第3番「英雄」
オススメ度
指揮:ヴィルヘルム・フルトヴェングラー
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1952年11月24, 26-28日, ウィーン楽友協会・大ホール
交響曲第2番、第4番
オススメ度
指揮:ヴィルヘルム・フルトヴェングラー
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1948年10月3日, ロイヤル・アルバート・ホール(第2番、ライヴ),
1952年12月1-3日(第5番), ウィーン楽友協会・大ホール(第4番)
交響曲第5番「運命」、第7番
オススメ度
指揮:ヴィルヘルム・フルトヴェングラー
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1950年1月18-19日(第7番), 1954年2月28日-3月1日(第5番), ウィーン楽友協会・大ホール
交響曲第6番「田園」、第8番
このディスクだけリマスターし忘れたのか?と思うぐらいに、音質がかなり悪いです。マスターテープの状態が良くないのでしょう。交響曲第8番だけはフィンランドのストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団が演奏で1948年のライヴ録音ですが、ものすごく音質が悪いです。ウィーンフィルとの「田園」も力強い演奏ですが音質が今ひとつ。このディスクだけはおすすめしづらいですね。
オススメ度
指揮:ヴィルヘルム・フルトヴェングラー
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(第6番)
ストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団(第8番)
録音:1948年11月13日, ストックホルム・コンサートホール(第8番、ライヴ)
1952年11月24-25日, ウィーン楽友協会・大ホール(第6番)
交響曲第9番「合唱付き」
1951年のバイロイト音楽祭での第九でいわゆる「バイロイトの第九」。緊張感がみなぎる中、力強い生命力を感じる演奏です。特に第4楽章ではコーラスが加わってからなんとイキイキとしていることでしょうか。定盤中の定盤ですが、今聴いてもやはりすごいです。
オススメ度
指揮:ヴィルヘルム・フルトヴェングラー
バイロイト祝祭管弦楽団
録音:1951年7月29日, バイロイト祝祭劇場(ライヴ)
まとめ
どうせ古い録音で音質が悪いんでしょ?と思って聴いてみると驚きました。2010年にリマスターされたものは音質が思ったよりだいぶ良くなっていますし、フルトヴェングラーが指揮するとこんなに違うのかと思うほどの生命力を感じる演奏です。今聴いてもやはりすごいです。
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試聴
iTunesで試聴可能。
受賞
特に無し。
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