このアルバムの3つのポイント
- ジュリーニの2回目のフランクの交響曲録音
- 晩年のゆったりとした旋律美
- ベルリンフィルの凄み
生誕200周年の作曲家セザール・フランク
ベルギー出身のセザール・フランクは1822年生まれ。今年が生誕200周年のアニバーサリーとなりますが、皆さんは意識していますでしょうか。
私は海外のオーケストラの情報もちょくちょくネットで見ているのですが、フランクがあまり話題になっていない印象です。あまり盛り上がっていないのかなと疑問に思いますが、単に私が調べきれていないだけと考えることにします。
ただ、録音ではフランクの交響曲ニ短調を聴き比べる日々です。この曲は昔聴いたヘルベルト・フォン・カラヤン指揮パリ管弦楽団のものが印象に残っていますが、CDが手元に無いので私がもっぱら聴いているのはカルロ・マリア・ジュリーニが1986年にベルリン・フィルハーモニー管弦楽団を指揮したもの。
晩年に差し掛かったジュリーニの指揮
1986年と言えば3月にはフィルハーモニア管弦楽団を指揮してフォーレのレクイエムを録音し、6月にウィーンフィルを指揮したブルックナーの交響曲第7番を録音していました。晩年のジュリーニはオーケストラの要職から離れてフリーの指揮者としてヨーロッパを拠点に活動していました。
ジュリーニによるフランクの交響曲ニ短調の録音は3種類あり、このベルリンフィルとの録音が2回目。3回目はソニー・クラシカルで1993年のウィーン・フィルハーモニー管弦楽団とのライヴ録音があります。ウィーンフィルが柔らかいオーケストラの音色のためにニ短調の曲にも関わらず優しい感じに仕上がっていたのですが、このベルリンフィルとのものは悲痛さがあってこの曲らしいと思います。
悲哀の暗さの中にじんわりと来る旋律
この曲に漂う悲哀さがヒシヒシと感じられますが、その中にもジュリーニならではの旋律美がふわっと広がるのが特徴的。後年1993年のウィーンフィルとの再録音ではより旋律を強調する方向に行ってしまいましたが、ウィーンの柔らかい音色に比べて暗さが漂うベルリンフィルとの旧録のほうがこの曲の性質に合っていると思います。
3楽章で45分ほどの大作ですが、ジュリーニ・ワールドに浸っているとあっという間に聴き終えてしまいます。カップリングされているフランクの交響詩「プシュケ」から第4曲「プシュケとエロス」も旋律に満ちています。
まとめ
晩年のジュリーニとベルリンフィルによるフランクの傑作。この曲の中で一度は聴いたほうが良い演奏でしょう。
オススメ度
指揮:カルロ・マリア・ジュリーニ
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:1986年2月, ベルリン・フィルハーモニー
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廃盤のため無し。
試聴
iTunesで試聴可能。
受賞
特に無し。
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