アシュケナージ2回目のラフマニノフ ピアノ協奏曲全集は盟友ハイティンク/コンセルトヘボウ管と(1984ー86年)

ラフマニノフ ピアノ協奏曲全集 ヴラディーミル・アシュケナージ/ベルナルト・ハイティンク/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団(1984-1986年)

このアルバムの3つのポイント

ラフマニノフ ピアノ協奏曲全集 ヴラディーミル・アシュケナージ/ベルナルト・ハイティンク/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団(1984-1986年)
ラフマニノフ ピアノ協奏曲全集 ヴラディーミル・アシュケナージ/ベルナルト・ハイティンク/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団(1984-1986年)
  • ヴラディーミル・アシュケナージ2回目のラフマニノフのピアノ協奏曲全集
  • 強靭さと色彩豊かなピアノにハイティンク/コンセルトヘボウ管の理想的なサポート
  • 第3番はエジソン賞を受賞した決定盤

旧ソ連出身のピアニスト兼指揮者のヴラディーミル・アシュケナージは、バッハやモーツァルト、ベートーヴェン、ショパンを含めて非常に幅広いレパートリーを誇りますが、ロシアの作曲家のラフマニノフ、スクリャービン、プロコフィエフ、ショスタコーヴィチには特にこだわりを感じます。

ラフマニノフについては、ピアニストとして前奏曲全集や珍しいピアノ作品なども録音し、ピアノ協奏曲も度々録音してきましたし、ピアノ三重奏曲やチェロ・ソナタなどの室内楽曲も録音しています。また、指揮者として交響曲全集を3回録音していますし、後進のピアニストと協演してピアノ協奏曲のオーケストラを指揮することも多いです。

ピアニストとしてアシュケナージは、1963年にピアノ協奏曲第2番(キリル・コンドラシン指揮モスクワフィル)と第3番(アナトール・フィストゥラーリ指揮ロンドン響)を録音した他、1970年と71年にアンドレ・プレヴィン指揮ロンドン交響楽団と1回目の全曲録音を完成しています。さらに1975年にはピアノ協奏曲第3番をユージン・オーマンディ率いるフィラデルフィア管弦楽団と録音していて、他にも私は聴いたことが無いのですがズービン・メータ指揮によるピアノ協奏曲第3番もあるようです。

2回目のピアノ協奏曲全集が、1984年から86年にベルナルト・ハイティンク指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団(現ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団)とのレコーディングです。

この1980年代中盤は、アシュケナージもハイティンクも全盛期を迎えていたときで、アシュケナージに関してはこちらにまとめていますが、1983年にズービン・メータ指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団と2回目のベートーヴェンのピアノ協奏曲全集、そして1986年から87年にクリーヴランド管弦楽団を弾き振りして3回目の全集を完成させています。また、フィルハーモニア管弦楽団との弾き振りによるモーツァルトのピアノ協奏曲を完成させたのもこの時期です。

そして、ハイティンクのほうも、長らく首席指揮者を務めていたコンセルトヘボウ管との集大成を迎えている時期で、ショスタコーヴィチの交響曲やベートーヴェンの交響曲全集などで次々とレコード賞を受賞していました。

ハイティンクとは、1974年のロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団とのベートーヴェンのピアノ協奏曲全集の映像作品や、1981年、82年にコンセルトヘボウ管とブラームスのピアノ協奏曲全集もあります。作品に実直な解釈のハイティンクは楽譜に忠実な演奏をおこなうアシュケナージとの相性が良い指揮者だったと思います。

このラフマニノフのピアノ協奏曲全集のレコーディングですが、私はピアノ協奏曲第3番とパガニーニの主題による変奏曲が入った1枚のCDを持っていましたが、全て聴きたくなり、1988年にリリースされたピアノ協奏曲だけの古いアルバム(CD2枚組、型番421 590-2)を購入しました。ただ、最近ではタワーレコードから2019年にリリースされたアルバムでは、パガニーニの主題による変奏曲も付いてCD2枚組に収まっているのでこちらのほうが良いですね。

本格化した指揮者としての活動によりアシュケナージのピアノは80年代から色彩が増していくのですが、この録音でもそれが伺えます。また、シャープさが特徴だった打鍵に強靭さも併せ持つようになってきており、旧録のプレヴィンとの全集よりもピアノのみずみずしさやスケールがアップしています。

ハイティンク指揮コンセルトヘボウ管も、アシュケナージのピアノにピタリと寄り添い、完全に調和しています。

4曲ともレベルが高いですが、特に素晴らしいのが第3番。この録音はオランダのエジソン・クラシック賞で協奏曲部門を受賞しているのですが、古今東西の他の演奏家と聴き比べてもこの第3番は理想的だと思います。第1番もしっとりとしていてスケールの大きな演奏です。好みの問題ですが、第2番だったら私はコンドラシン/モスクワフィルとの協演のほうがよりメランコリーですし、第4番だったらプレヴィン/ロンドン響との協演のほうがモダンな感じで好みです。

デジタル録音ということもあり、音質は良いです。デッカと言えば録音技術に定評がありますが、このアルバムでも音が立体的で、奥行きがあります。

ラフマニノフのピアノ協奏曲全集を語る上で欠かせない、アシュケナージ2回目の全集。ハイティンク指揮コンセルトヘボウ管の完璧なエスコートで、特に第3番を愛聴しています。

オススメ度

評価 :5/5。

ピアノ:ヴラディーミル・アシュケナージ
指揮:ベルナルト・ハイティンク
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
録音:1984年9月(第2番), 12月(第4番), 1985年8月(第3番), 1986年12月(第1番) , コンセルトヘボウ

iTunesで試聴可能。

ピアノ協奏曲第3番は1987年のオランダ・エジソン賞の協奏曲部門を受賞。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。