このアルバムの3つのポイント
- 音だけなのにこの臨場感!
- デッカが誇る録音技術
- ショルティ初のグラミー賞受賞
エジプトを見てきて
コロナ禍の影響で海外旅行も行けない中、オンラインでできるアクティビティが人気を博しています。
私も会社の課外活動として、オンライン旅行をすることに。行き先は、エジプトでした。
ピラミッド、スフィンクス、そして市場など、ガイドが現地で説明するのを見て、日本からリモートで楽しみました。
以前の記事で紹介したとおり、ヴェルディの歌劇「アイーダ」はエジプトが舞台です。
オペラの舞台セットで見たピラミッドやスフィンクスは質感が滑らかで壮大でしたが、このオンライン旅行で見ると、ゴツゴツした岩が積まれていて、思ったよりも無骨な印象でした。
エジプトでも「アイーダ」は上演されるのですか、と現地のツアーガイドの方に質問してみたら、スフィンクス前の広場などで演奏されている、とのこと。日本が舞台のプッチーニの「蝶々夫人」を日本のコンサートホールで観るような気分でしょうか。
ヴェルディのオペラでも人気の「アイーダ」
「アイーダ」はヴェルディの数多くのオペラの中でも人気の作品で、特にサッカーの日本代表の応援ソングでもある「凱旋行進曲」は一般的にもかなり有名な曲です。
あらすじはエジプトとエチオピアの国同士の争いの中でエジプト軍の指揮官ラダメスと、エジプト王女アムネリス、そしてエチオピア王のアモナズロと、アモナズロの娘でアムネリスの奴隷として仕えるエチオピア王女アイーダが主な登場人物。
ラダメスはアイーダと相思相愛ですが、アムネリスからも愛されています。エジプト軍はエチオピア軍に勝利し、アモナズロは奴隷となってしまいます。第2幕第2場には有名な凱旋行進曲が流れますが、この曲だけ単独で演奏会で演奏されることもあるぐらい人気曲です。
アイーダは父アモナズロの指示により、ラダメスからエジプト軍の行き先の経路を聞き取り、機密情報をうっかりもらしてしまったことをラダメスは悔やみ、自らの意志でその場に留まり、祭司に逮捕されます。
そして審判を受け、ラダメスは生き埋めの刑に。地下牢に向かうと、そこにはアイーダが待っています。こうなることを予想してアイーダは地下牢に潜んでいたのです。ラダメスとアイーダは、2人で穏やかに死んでいきます。
ラダメス役には、軍の指揮官という勇ましさと、愛するアイーダを前にしたときの青年のような純粋な心が求められます。また、アイーダ役には、エチオピア王女なのに奴隷として仕える屈折した気持ちや、そして父であるエチオピア王を慕う娘としての気持ち、愛するラダメスを前にしたときの恋する乙女の感情、さらに両者の間で板挟みになってしまい、途方に暮れる悲しさなど、複雑な表現力が求められます。
ショルティ初のグラミー賞
今回紹介する録音は、ゲオルグ・ショルティのまだ若かりし頃の録音で、1961年7月にローマ歌劇場管弦楽団を指揮して録音した「アイーダ」。
1958年から始まったヴァーグナーの「ニーベルングの指環」の全曲録音をウィーンフィルとスタジオ録音するという壮大なプロジェクトを進めているときです。
ショルティは米国グラミー賞を歴代最多の31個も受賞し、ギネス記録を持っていますが、その快挙の最初を飾ったのがこのローマ歌劇場管との「アイーダ」のレコーディングでした。1962年の「Best Opera Recording」を受賞しています。
音だけなのにこの臨場感
さすがだなと思うのが、この臨場感。視覚情報が無いのに音だけでこれほど劇的にオペラを表現できるなんて。
耳で聴いているだけでもオペラの1シーンが頭に浮かんできます。
この時期のショルティの指揮らしく、金管がよく響き、壮大な雰囲気に合っています。特に凱旋行進曲では、速めのテンポ、管弦にコーラスが加わった壮大なスケールが素晴らしいです。アイーダ役のレオンタイン・プライスの心揺さぶる歌声も実に見事。
そしてデッカが誇る録音技術にも触れておきましょう。1961年の録音なのに、くっきりと音楽を捉えているのです。他のレコーディング・レーベルだと込もった音質になったでしょうが、デッカの技術には驚きます。
まとめ
ショルティ初のグラミー賞受賞の名盤。『アイーダ』でどれを聴こうか迷ったときには試しに聴いてみることをオススメしたいです。
オススメ度
アイーダ役:レオンタイン・プライス
アムネリス役:リタ・ゴール
ラダメス役:ジョン・ヴィッカーズ
アモナズロ役:ロバート・メリル
指揮:サー・ゲオルグ・ショルティ
ローマ歌劇場管弦楽団&合唱団
録音:1961年7月, ローマ歌劇場
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試聴
受賞
1962年米国グラミー賞の「Best Opera Recording」を受賞。
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