現代最高のピアニストの一人、エフゲニー・キーシンは、ドイツ・グラモフォン・レーベルに移籍し、第1弾がベートーヴェンのライヴ録音集。2006年から16年までの世界各地でのリサイタルの音源です。ノイズがひどいですがキーシンの深化を感じる貴重なアルバム。
晩年に誤解を解いてショスタコーヴィチの作品に精力的に取り組んだサー・ゲオルグ・ショルティは、交響曲全集のレコーディングも進めていました。ショルティ逝去に伴い全集にはなりませんでしたが、1993年2月にウィーン・フィルハーモニー管弦楽団を指揮して録音した第5番は、立ち込める緊張感の中、シリアスな演奏をおこなっています。
1975年から2014年まで39年間を掛けて完成させたマウリツィオ・ポリーニのベートーヴェンのピアノソナタ全集。その中でも最初の1975年から77年に録音された後期ピアノソナタは、圧倒的なテンポとピアニズムで演奏史に残る金字塔を成し遂げたとも言える名演。英国グラモフォン賞の他ドイツとフランスでも受賞した名盤です。
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団とブルックナーの交響曲全集を始め、結果として未完で終わったしまった指揮者ベルナルト・ハイティンク。しかし録音は説得力の高い演奏で、1988年12月の交響曲第3番「ヴァーグナー」はオランダのエジソン賞を受賞。ウィーンの美音によるハツラツとしていて、初演で失敗した第2稿を使った演奏です。
ドイツ=オーストリア作品を得意とした指揮者カール・ベーム。特にウィーンフィルとのブルックナーの録音はどれもオーソドックスで素晴らしいです。第7番は1976年9月の録音で、ウィーンフィルの美音を活かして伸びやかで牧歌的な演奏をおこなっています。
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団と良好な関係を築いたカール・シューリヒト。ブルックナーの交響曲第8番を1963年12月に録音しています。削ぎ落とされた質実剛健の響きで、ブルックナーの大作をありのままに描きます。ハース版第2稿をベースにしながらもシューリヒトならではのカットをおこなっているスコアにも注目です。
ショスタコーヴィチを得意とした指揮者、マリス・ヤンソンス。1997年1月にウィーン・フィルハーモニー管弦楽団を指揮して交響曲第5番を録音していますが、これがヤンソンスにとってウィーンフィルとの初録音になりました。後に名誉団員となるほど良好な関係を築く両者の軌跡を感じます。
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団から尊敬された指揮者、カール・シューリヒトはブルックナーを得意としていました。1961年11月のウィーンフィルとの交響曲第9番は、削ぎ落とされて贅肉のない響きで聴き手の心に刺さるような枯淡の味わいを聴かせてくれます。
サイモン・ラトルは1993年にウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の指揮台にデビューしました。演奏したのは異例ながらマーラーの大作、交響曲第9番。対向配置を取ろうとしてオーケストラと対立し演奏会がキャンセルになりかけたそうですが、大胆に伸び縮みをさせる音楽作りとウィーンフィルの柔らかな響きで新鮮な演奏に仕上がっています。
イタリア出身の名指揮者カルロ・マリア・ジュリーニは、1980年代にウィーン・フィルハーモニー管弦楽団とブルックナーの後期交響曲を録音し、いずれも名演奏の評価を得ています。1986年6月にレコーディングされた第7番では、歌心と慈愛さに満ちていますが、クライマックスでは壮大さも持つなど形態美を感じさせてくれます。
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