今回紹介するのは、オランダ出身の名指揮者ベルナルト・ハイティンク (1929-2021年)の名盤。90歳まで指揮して長いキャリアの中でレコーディングもかなり多く、録音を全部聴くのは至難の技。ここではハイティンクの膨大なディスコグラフィーの中から選りすぐりの名盤を紹介します。

ブルックナー交響曲第8番 ベルナルト・ハイティンク/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(1995年)

ハイティンクの数多い録音の中でも、ブルックナーとマーラーはかなり多いです。ブルックナーの交響曲第8番はコンセルトヘボウ管との全集、再録音、そしてシュターツカペレ・ドレスデンとのライヴ録音などもありますが、一つ選ぶとしたらウィーン・フィルハーモニー管弦楽団との1995年の録音。ウィーンフィルでブルックナーを演奏するのは「特別なんです」と語っていたハイティンク。日本のレコード・アカデミー賞とオランダのエジソン賞を受賞したアルバム。こだわりのハース版第2稿です。

マーラー交響曲第9番 ベルナルト・ハイティンク/バイエルン放送交響楽団(2011年)

ハイティンクが度々客演したオーケストラの一つがバイエルン放送交響楽団。2011年12月の演奏会のマーラーの交響曲第9番では、当初、首席指揮者のマリス・ヤンソンスが指揮する予定でしたが、体調不良のためにハイティンクが代役を果たしました。9番もハイティンクが何度も演奏、録音してきた曲ですが、このバイエルン放送響との演奏は自然体の境地。ドイツのエコー賞とマーラー賞を受賞しています。

コンセルトヘボウ管とのクリスマス・マチネ・ライヴでのマーラー2番 (1984年)

マーラー交響曲選集 ベルナルト・ハイティンク/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団(1977-1987年)

ハイティンクはマーラーを数多く録音してきましたが、キャリアの若いときのコンセルトヘボウ管との交響曲全集はまだフレッシュな解釈でオーケストラのコントロールもやや粗さがあり、80年代後半以降のベルリンフィル、2000年代以降のシカゴ響、バイエルン放送響との録音では巨匠風のゆったりとしたテンポで終始進む巨大な伽藍堂のような演奏でややもすると単調さもあります。一方で、コンセルトヘボウ管とのクリスマス・マチネでのコンサートのライヴ録音はその中間とも言え、ハイティンクの充実ぶりと、まだシャイー時代になる前のいぶし銀のようなコンセルトヘボウ管のサウンドが聴きどころ。ライヴならではの熱気もあり、これが「中庸」と言われたハイティンクなのか、と驚きました。その中でも交響曲第2番「復活」は異色の出来。観客の咳などのノイズはありますが、それ以上にハイティンクのマーラーでゾクゾクした記念碑的な演奏です。

ベルリンフィルとのストラヴィンスキー『春の祭典』 (1995年)

ストラヴィンスキー四大バレエ作品 ベルナルト・ハイティンク/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(1988, 95年)

ハイティンクの特徴として、どのオーケストラでもパフォーマンスを引き出すオーケストラ・ビルダーであることと、音色を聴き分ける耳の良さ。それを体感できるのが、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団とのストラヴィンスキーのアルバム。特に『春の祭典』では、各楽器が混ざり合わないでハイティンクのバランス感覚を感じます。

シカゴでの怪演。ショスタコーヴィチ交響曲第4番 (2008年)

ショスタコーヴィチ交響曲第4番 ベルナルト・ハイティンク/シカゴ交響楽団(2008年)

ハイティンクはロシア系以外の指揮者として初めてショスタコーヴィチの交響曲全集を完成させました。ロシア的なメランコリーや強靭なショスタコーヴィチではなく、あくまでも純粋な音楽として表現するグローバルなスタイルでショスタコーヴィチの音楽を広めてくれました。シカゴ交響楽団とは首席指揮者を務めた時代に交響曲第4番をライヴ録音しています。ゆったりとしたテンポで圧倒的なスケールで描くショスタコーヴィチの前衛さ。米国グラミー賞を受賞した名盤です。

今日はベルナルト・ハイティンクの名盤を5つ紹介しました。膨大なディスコグラフィーの中から聴いてみたいと思うものが一つでも見つかれば幸いです。

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