ショパン没後150年を記念したアシュケナージの録音

今日紹介するのは、ヴラディーミル・アシュケナージ (1937年〜)の録音。

ピアニストとしてキャリアを始め、30代からは指揮者としての活動を本格化させました。

指揮者としての顔のほうが多くなったので、「ピアノも弾ける」と思われがちですが、アシュケナージが音楽界で注目されたのは1955年のショパン国際コンクールで第2位になったから。つまり、ショパンはアシュケナージの原点とも言えます。

まだ17歳だったアシュケナージによるそのときの演奏は後に録音がリリースされましたが、カミソリのようなシャープなテクニックと、ノクターンやバラードで聴かせる詩情は目を見張るものがあります。

1999年はショパンの没後150周年のアニバーサリーでしたが、アシュケナージもショパンの後期作品を録音しています。

ショパン後期作品集 ヴラディーミル・アシュケナージ(1999年)
ショパン後期作品集 ヴラディーミル・アシュケナージ(1999年)

このアルバムは以前の記事「オススメのショパンのバラード録音」の紹介でも触れています。

バラード第4番や舟歌などのショパン後期作品

収録されているのは、ショパンの後期の作品。

  • バラード第4番 Op.52
  • 子守歌 Op.57
  • 幻想ポロネーズ Op.61
  • 2つの夜想曲 Op.62
  • 3つのワルツ Op.64
  • 3つのマズルカ Op.59
  • 舟歌 Op.60

後期と言っても、ショパン30代の作品ですが、中期のヴィルトゥオーソ的で華やかな作品とは異なり、孤独さを感じさせるもの。

アシュケナージ62歳のときの録音で、ショパンの侘び寂びにシンパシーを感じた見事な演奏ばかり。色彩豊かなパレットで澄み切った音色。晩年の作品と言っても、決して枯れてはいなくて、アシュケナージの熱さも感じます。「カミソリ」と表現されたシャープさはまろやかになり、音が切れずに滑らかにそしてダイナミックにつながっています。

バラード第4番は海を表現しているようで。穏やかな水面で自省的なシーンから、押し寄せる波のように感情が揺れていきます。冒頭のAndante con moto のp で始まるト音のオクターブ。アシュケナージは絶妙な力加減でそっと物語っていきます。

続く子守歌でも美しい調べに清流が流れるような伴奏。

ポロネーズの中でも幻想ポロネーズは表面的な演奏では違和感がありますが、アシュケナージが聴かせるのは実に深淵な世界。

ノクターンでしっとりして、ワルツでは彩りを添えて、そしてまたマズルカで詩的な調べ。クライマックスはやはり舟歌。舟での長い旅路の中で様々な経験をするように、色々考えさせてくれます。

配信ではハイレゾでないのが惜しい

このアルバムは2001年10月にCDがリリース、そして2003年4月にSACDハイブリッド、2017年4月にSHM-CDでリリースされています。私はSACDハイブリッドを持っているのですが、Apple Music のような配信ではロスレスでしか配信していないのです。高音質CDで出ているので配信のほうもハイレゾになってもらいたいです。

オススメ度

評価 :5/5。

指揮:ヴラディーミル・アシュケナージ
録音:1999年6月2-5日, クオピオ・ミュージック・センター(フィンランド)

受賞

特になし。

試聴

Apple Music で試聴可能。

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