このアルバムの3つのポイント
- バーンスタインとウィーン国立歌劇場管の伝説的な「フィデリオ」
- 当時の人々の熱狂ぶりがうかがえる映像
- ヤノヴィッツやポップらの歌手陣も豪華
2020年はベートーヴェン生誕250年のアニバーサリー
今年2020年は、作曲家ルードヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827年)の生誕250年。本来なら世界中の音楽祭やコンサートでオール・ベートーヴェン・プログラムが組まれて楽聖のアニバーサリーを大体的に行うはずだったのだが、コロナ禍の影響で規模縮小を余儀なくされている。そんな中、ユニバーサル・クラシックが「おうちでオペラ、バレエを」というコンセプトで、DVD名盤セレクションシリーズで往年のオペラやバレエの名演を9月9日に再発売した。私も今年アニバーサリーのベートーヴェンを特に意識して聴いていないなと思い、歌劇「フィデリオ」のDVDを購入することに。
レナード・バーンスタインがウィーン国立歌劇場を指揮
1978年1月のウィーン国立歌劇場でのライヴ映像で、当時飛ぶ鳥を落とす勢いのレナード・バーンスタインが、蜜月の関係にあったウィーン国立歌劇場管弦楽団(ウィーン・フィルの母体)と演奏したもの。1978年の当時の情勢もあるのだろうが、聴衆も熱狂的で、バーンスタインが登場するだけで猛烈な拍手の嵐である。そして演奏を始めようと思ったバーンスタインだが、再びの拍手でまた挨拶することに。そして始まったフィデリオの序曲だが、さすがバーンスタインというべきで、まるで音楽に血が通ったかのように生き生きとした演奏。指揮に没頭する姿を映像で見ると、どこまで本当でどこからが演技なのか分からなくなるぐらいだが、ウィーン国立歌劇場管から躍動感ある響きを引き出している。
カリスマ指揮者だけではなく歌手陣もすごい
カリスマ指揮者のバーンスタインだけではなく、このフィデリオでは歌手陣もすごい。マルツェリーネ役のルチア・ポップの、乙女らしい可愛らしく美しい声も見事だが、レオノーレ(フィデリオ)役のグンドゥラ・ヤノヴィッツの力強い歌声も良い。そして男性陣も味がある歌声で、これだけ豪華な歌手陣で並べたオペラはなかなかお目にかかれないだろう。
42年前の演奏で音声や映像は粗さがあるが…
1978年1月の演奏で、今から42年前の映像なので、音声や映像も粗いのは仕方がないところだが、そんなの関係ないと言わんばかりにこのフィデリオの躍動感がすごい。聴衆の熱気もすごく、演奏後にはウィーン国立歌劇場に詰めかけた観客が総立ちだ。「昔は良かった」と言ったら年を取った証拠だとも言われるが、このフィデリオを観たら「昔は良かった」と思ってしまった。
オススメ度
フロレスタン役:ルネ・コロ
レオノーレ(フィデリオ)役:グンドゥラ・ヤノヴィッツ
ドン・フェルナンド役:ハンス・ヘルム
ドン・ピツァロ役:ハンス・ゾーティン
ロッコ役:マンフレート・ユングヴィルト
マルツェリーネ役:ルチア・ポップ
演出:オットー・シェンク
指揮:レナード・バーンスタイン
ウィーン国立歌劇場管弦楽団
ウィーン国立歌劇場合唱団
演奏:1978年1月29日, ウィーン国立歌劇場(ライヴ)
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