あまり多くないハイティンクのブルックナー9番の録音
本日紹介するのは、ベルナルト・ハイティンク (1929-2021年)が指揮したブルックナーの交響曲第9番のアルバム。
ブルックナー指揮者と呼ばれるハイティンクは演奏も録音も多いですが、最晩年まで指揮し続けた第7番や、時代によって解釈が変わる第8番と違って、第9番は録音があまり多くないです。コンセルトヘボウ管との全集のときの1965年録音、1981年のコンセルトヘボウ管との再録音、そして2009年の80歳記念でのテレビ放送されたコンセルトヘボウ管との映像、そしてこの2013年のロンドン響ぐらいです。
LSO Live のオリジナル音源が廉価版専門のalto レーベルで2026年リリース
ロンドン響とはオーケストラの自主レーベルであるLSO Live からリリースされて、2015年にSACD ハイブリッドで、2018年にはUHQCD で出ていますが、同じ音源のものが2026年10月15日に廉価レーベルのaltoからリリースされました。LSO Live ではハイレゾ音源のCD でしたが、alto ではCD のみの提供。廉価と言ってもセールで2,100円ほどなのでそれほど廉価でもありません。
普段、配信で聴いているのでこの録音もApple Music でよく聴いているのですが、CD プレーヤーでも聴いてみようと思い、このalto 版を購入してみました。
LSO Live ではカッコ良かったアルバムのジャケット写真も、

alto ではこんな感じに。

裏面のトラック番号の表記や、CD 表面のプリントも余白が少なくびっしり文字が書いてあって、いかにも廉価版という、ちゃっちい感じになってしまいました。
テンポ不変で巨匠が聴かせる強靭さ
この録音は日本ではレコード芸術で準特選、そして英国ではグラモフォン賞にノミネートされましたが選出されず、どこかケチがついてしまうのですが、今のところリリースされている中ではハイティンク最後のブル9の録音なので重宝したいところ。
ハイティンク83歳の晩年の指揮で、巨匠らしい悠然としたブルックナー。オケがロンドン響で輝かしいモダンな響きです。ドイツのような重厚感や、ウィーンの官能的な美しさとは違う強靭さ。
演奏時間は第1楽章が27:31、第2楽章11:53、第3楽章が27:46。1981年の録音ではそれぞれ25:11、10:51、26:28だったので、よりテンポをゆったりとさせているのが特徴。
これを聴くと、漫画ドラゴンボールでセルとの戦いでのトランクスを思い出します。修行して筋肉もりもりになったトランクスは、パワー偏重となりスピードが失われて攻撃がセルに当たらず、敗北します。
パワー偏重となったこのブルックナー。ハイティンクはテンポ・ルバートをせずに伽藍堂のように、巨大な音の構造物を作り出しています。例えば第1楽章の提示部。フォルテの59小節のセンプレ・クレッシェンド (常にだんだん強く) からクレッシェンドしてさせて63小節のフォルテフォルテッシモへと続くのですが、ハイティンクはフォルテッシモまで上げずにフォルテフォルテッシモに突入するので、ガタッと断続的な音強変化をさせています。そしてこのセンプレ・クレッシェンドで加速させる指揮者も多い中、ハイティンクの手綱はガッチリと抑えたまま。テンポを揺らさずにこの提示部の中核動機を表しています。
さらに第2楽章でもスケルツォはゆったりとしたテンポで一定のリズムで進み、ロンドン響が持つ壮大なハーモニーで描いています。
第3楽章では神の祈りのような崇高さがあります。
オススメ度
指揮:ベルナルト・ハイティンク
ロンドン交響楽団
録音プロデューサー:ジェームズ・マリンソン
バランスエンジニア:アンドリュー・ハリファックス, ジョナサン・ストークス
alto 版リマスター:ポール・アーデン=テイラー
録音:2013年2月17, 21日, バービカン・ホール (ライヴ)
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試聴
Apple Music で試聴可能。
受賞
特に無し。







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