このアルバムの3つのポイント
- シカゴ響の黄金時代の首席客演指揮者ジュリーニとのベートーヴェン
- ゆったりとしたテンポでハツラツと
- シカゴ響の明朗な響き
シカゴ交響楽団の第2の黄金時代
アメリカのシカゴ交響楽団は、1969年に音楽監督に就任したゲオルグ・ショルティと第2の黄金時代を迎えます。
※1回目はフリッツ・ライナーの時代。
シカゴ響のレパートリーを拡大させただけでなく、ヨーロッパにも積極的に演奏旅行をおこない、シカゴ響の存在を知らしめました。
そのシカゴ響の黄金時代で重要な存在を担ったのが、首席客演指揮者を務めたカルロ・マリア・ジュリーニ。
ショルティがタカ派だったらジュリーニがハト派のように、シカゴ響も2人の指揮者で異なる演奏スタイルを吸収していきました。
ゆったりとしたテンポでハツラツ全開のベートーヴェン
今回紹介するのは、ベートーヴェンの交響曲第7番。1971年3月のシカゴ・メディナ・テンプルでの録音です。
ジュリーニは晩年の1990年代にミラノ・スカラ座を指揮して第9番を除くベートーヴェンの交響曲8曲をレコーディングしていますが、そのときの第7番はテンポをこれでもかというぐらいに遅くしてメロディを引き立てていましたが、こちらの1971年の録音は全く違います。
明朗な響きを持つシカゴ響の特徴を活かして、ジュリーニとシカゴ響はハツラツとした演奏をおこないます。テンポは少しゆったりとしていますが、晩年のように遅すぎるということはありません。オーケストラが活き活きと自発的に音楽を生み出している、そんな印象です。
今回、ベートーヴェンの交響曲第7番のスコアを見ながらこの演奏を聴いたのですが、オーケストラの編成もそこまで大きくなく、楽譜もスッキリとしているのにどうしてここまで圧倒的な音楽になるのかが本当に驚きです。ベートーヴェンは改めてすごい。
この楽章ではヴァイオリンの美しさが群を抜いています。
深い哀しみに包まれる第2楽章
明朗だった第1楽章とは一転して、第2楽章では深い哀しみに包まれます。緩徐楽章でもすごさが出るのがシカゴ響だと思うのですが、まるでオペラのようにドラマティックです。ここでもジュリーニはゆったりとしたテンポで進めています。
第3楽章や第4楽章ではまたシカゴ響のパワーに圧倒されます。特に第4楽章は冒頭から吹き飛ばすような勢いがあります。
まとめ
シカゴ響の第2の黄金時代の初期におこなった、ジュリーニとのベートーヴェンの交響曲第7番。シカゴ響の明朗な響きを活かしてゆったりとしたテンポでハツラツとした演奏を聴かせてくれます。
オススメ度
指揮:カルロ・マリア・ジュリーニ
シカゴ交響楽団
録音:1971年3月29日, シカゴ・メディナ・テンプル
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試聴
iTunesで試聴可能。
受賞
特に無し。
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