このアルバムの3つのポイント

ブラームス ドイツ・レクイエム サー・ゲオルグ・ショルティ/シカゴ交響楽団(1978年)
ブラームス ドイツ・レクイエム サー・ゲオルグ・ショルティ/シカゴ交響楽団(1978年)
  • ショルティ×シカゴ響×シカゴ響合唱団でオーケストラもコーラスも最強
  • キリ・テ・カナワの歌声響く
  • 米国グラミー賞を受賞

1969年に音楽監督に就任してからサー・ゲオルグ・ショルティシカゴ交響楽団は目覚ましい活躍をおこないました。フリッツ・ライナー以来のシカゴ響「第二の黄金期」と呼ばれる時代を迎え、マーラー、ベートーヴェン、ブルックナー、ブラームス、R.シュトラウス、そしてヴァーグナーの楽劇まで、幅広いレパートリーで超一線級の演奏、録音をおこないました。

米国グラミー賞を受賞した数がポップスも合わせて歴代首位のショルティですが、中でも1979年は輝かしい年でした。こちらの記事で紹介した、ブラームスの交響曲全集がグラミー賞の「BEST CLASSICAL ALBUM」と「BEST CLASSICAL ORCHESTRAL RECORDING」の二冠を獲得し、さらに今回紹介するドイツ・レクイエム Op.45「BEST CHORAL PERFORMANCE, CLASSICAL (OTHER THAN OPERA)」を取り、三冠達成です。

前年の1977年にはショルティとシカゴ響唯一のRCAレーベルでのレコーディングで、ヴェルディのレクイエムを録音。こちらの記事で紹介しましたが、これもグラミー賞「BEST CHORAL PERFORMANCE (OTHER THAN OPERA)を受賞した名盤です。

このドイツ・レクイエムは、聴く者の心を圧倒する演奏でしょう。

ショルティ指揮シカゴ響の演奏はまるでオペラを聴いているかのようなドラマティック。第2曲「人はみな草のごとく」の後半でゾクッとするような劇的な表現が聴きどころです。

そして合唱(コーラス)も見事です。これはマーガレット・ヒリスが合唱指揮をしたというのもあるのでしょうが、この当時、シカゴ響は合唱団も最強だったと思います。

そして独唱もすごい。ソプラノのキリ・テ・カナワはもはや説明不要の名ソプラノ歌手ですが、ショルティ/シカゴ響とはとマーラーの交響曲第4番(1983年)の録音でも共演してこちらもグラミー賞を受賞した名盤です。このドイツ・レクイエムでは透き通った美声で存在感が出ています。

オーケストラ、合唱、独唱の全てが圧倒的なショルティ/シカゴ響のドイツ・レクイエム。年の瀬が迫った今こそ聴いてみたい1枚です。

オススメ度

評価 :5/5。

ソプラノ:キリ・テ・カナワ
バリトン:ベルント・ヴァイクル
指揮:サー・ゲオルグ・ショルティ
シカゴ交響楽団
シカゴ交響合唱団(合唱指揮:マーガレット・ヒリス)
録音:1978年5月, シカゴ・メディナ・テンプル

Deccaのオンラインカタログの「Solti Chicago Complete Recordings」のCD31で試聴可能。

米国グラミー賞の1979年「BEST CHORAL PERFORMANCE, CLASSICAL (OTHER THAN OPERA)」を受賞。

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コメント数:2

  1. ショルティで聴いて無いアルバムだったので、しっかり聴きたかったのですが、 サブスクしている Apple Music でアルバムは見つかりませんでした。5曲目だけは、キリ・テ・カナワのオムニバスとして収録されていたので、これだけ通しで聴きました。こころがあたたまる歌声と安定のシカゴ響でした。デッカのオンラインカタログは初めて知りました。各トラック1分くらいずつのお試しではありますが、なるほど、という響きでした。そこからが大変、このCDは買ったなあとか、これは聴いたことがある、え、こんな曲も録音してたんだ、などと次々に、試し聴きを続けてしまい、沼にハマりそうになりました。

    • XIZEさま
      コメントありがとうございます。試聴をまずはiTunesで探したのですが、なぜかこのショルティのドイツ・レクイエムだけ見つからなかったので、あちこち探してデッカのカタログのリンクを貼りました。
      確かに、ショルティはレコーディングが膨大すぎて、私も全ては聴いていないので、まだまだお宝探しができそうです。

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