このアルバムの3つのポイント

R. シュトラウス管弦楽作品集 アンドリス・ネルソンス/ボストン交響楽団/ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団(2017-2021年)
R. シュトラウス管弦楽作品集 アンドリス・ネルソンス/ボストン交響楽団/ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団(2017-2021年)
  • 勢いのある指揮者アンドリス・ネルソンスによる最新リリース
  • ネルソンスがR.シュトラウスの管弦楽作品を一気に録音
  • シュトラウスゆかりのゲヴァントハウス管とボストン響の振り分け

現代の指揮者で最も勢いのある一人がラトビア出身のアンドリス・ネルソンス。米国の名門ボストン交響楽団の首席指揮者と、約280年ほどの歴史があるドイツのライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の首席指揮者(カペルマイスター)を兼務しつつ、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団などにもたびたび客演しています。

チャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」を指揮するアンドリス・ネルソンス。(c) Accentus
チャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」を指揮するアンドリス・ネルソンス。(c) Accentus

レコーディングにもかなり旺盛で、ゲヴァントハウス管とはブルックナーの交響曲全集に取り組んでいて、昨年4月の記事でゲヴァントハウス管とのブルックナーの交響曲第2番と第8番のライヴ録音を紹介しました。またボストン響とはショスタコーヴィチの交響曲全集のプロジェクトが走っていて、7月の記事でボストン響とのショスタコーヴィチの交響曲第1番、第14番、第15番のライヴ録音を紹介しました。

そのネルソンスの新リリースが輸入盤CDで4月29日、国内盤UHQCDで本日5月11日に発売されています。

Twitter でもお知らせしましたが、ずっとCDを買う派だった私も、先週からサブスク(Apple Music)の契約を開始していて、このネルソンスの演奏も聴ける状態です。

ただ、ちゃんと腰を入れて聴いてみようと思い、敢えて輸入盤のCDを購入しました。実際Apple Music を始めてからはJポップとか映画のサントラを聴くことが増えてしまい、クラシックはまだ味見程度にしか聴けていません。

奇しくも、本日のニュースでApple が20年続けたiPod の販売を終了するというのが発表されていましたし、音楽を媒体で持ち歩いて聴くという時代からストリーミングでネットで再生する、というのが主流になっていくのでしょうね。

このアルバムは、CD7枚組で93トラック、演奏時間のトータルは8時間25分あります。さすがに全て聴き切れていない状態ですが、まずはCD5にある交響詩「ツァラトゥストラはこう語った」だけ何回も聴いてみました。ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団との2021年5月のレコーディングです。

「ツァラトゥストラ」と言えば、サー・ゲオルグ・ショルティ指揮シカゴ交響楽団(1975年)や、ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(1973年と83年)、マリス・ヤンソンス指揮バイエルン放送交響楽団(2017年)あたりの、緻密なハーモニーでスケールと美しさを兼ね備えた演奏が好みなのですが、このネルソンス/ゲヴァントハウス管盤は、荒々しさと優雅さがある演奏。

ネルソンスの特徴として、楷書体より行書体のようにハーモニーを荒削りに演奏させる点があると思いますが、このツァラトゥストラもゲヴァントハウス管の明るい響きを活かしつつ、力強いフレーズ、と特に第1曲の導入部(日の出)でのティンパニのように荒々しい演奏です。それでいて第2曲の「世界の背後を説く者について」ではテンポを極端にゆっくりとさせて、弦楽器によるコラールをうっとりするように官能的に演奏しています。アメとムチのような演奏でしょうか。これまで聴いたツァラトゥストラの演奏とは違うユニークさがありました。

ユニークなアルプス交響曲

2つ目の紹介は交響詩「アルプス交響曲」。このアルバムでは最初のレコーディングで、2017年11月と12月にボストン交響楽団と本拠地のシンフォニー・ホールで録音しています。明るい音色、荒々しいゲヴァントハウス管と比べると、ボストン響はやや真面目でまとまったハーモニーが特徴でしょう。金管が力強いのはアメリカのオーケストラらしいですが、弦の美しさや木管のふくよかさもシカゴ交響楽団などに近いものを感じます。

さてこのアルプス交響曲はかなりユニークです。同じペースで進む登山ではなく、ところどころゆっくりとしたテンポにして漂うように美を堪能している楽曲もあります。カチッとした形を持たずに後期ロマン派の音楽が曖昧な形状をして表現されているようです。

これまでヤンソンス/バイエルン放送響(2016年)カラヤン/ベルリンフィル(1980年)ショルティ/バイエルン放送響(1979年)とR.シュトラウスを得意とした指揮者の演奏でアルプス交響曲のレコーディングを紹介してきましたが、1回聴いて第1曲「夜」から第22曲「夜」までの全体像がすんなりと理解できたこれまでの演奏に比べて、ネルソンス/ボストン響のこの演奏は3回聴いてもまだ全体像が見えてきません。むしろそれぞれの曲の細部の自然の荒々しさや美しさに注目が行ってしまいます。もう1回書きますがユニークな演奏です。

CD7枚もあるボリューミーなアルバムなので、少しずつ聴いて記事を追記していきます。

オススメ度

評価 :4/5。

指揮:アンドリス・ネルソンス
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
録音:2017年11月-12月, ボストン・シンフォニー・ホール(アルプス交響曲)
2021年5月, ゲヴァントハウス(ツァラトゥストラ)

iTunesで試聴可能。

新譜のため未定。

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