渋い、いぶし銀のシューマン交響曲全集 ハイティンク/コンセルトヘボウ管(1981ー84年)

シューマン交響曲全集 ベルナルト・ハイティンク/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団(1981-84年)

このアルバムの3つのポイント

シューマン交響曲全集 ベルナルト・ハイティンク/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団(1981-84年)
シューマン交響曲全集 ベルナルト・ハイティンク/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団(1981-84年)
  • ハイティンクとコンセルトヘボウ管によるシューマンの交響曲全集
  • いぶし銀による枯淡の味わい
  • 全集の決定盤とも評される録音

ベルナルト・ハイティンクは膨大なレコーディングをおこなってきましたが、交響曲全集も多い指揮者でした。ベートーヴェン(3回)、ブラームス(3回)、マーラー、ブルックナー、ショスタコーヴィチなど、幅広いレパートリーでどれを演奏しても安定した高水準と、深くて奇をてらわないオーソドックスな作品解釈で根強い人気があります。

ロベルト・シューマンについても当時首席指揮者を務めていたロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団と1980年代前半に交響曲全集録音をおこなっています。このアルバムには交響曲第1番から第4番と、ゲノヴェーヴァ序曲Op.81、マンフレッド序曲Op.115がカップリングされています。

2007年に出版された音楽之友社の「クラシック不滅の名盤1000」を読んでシューマンの交響曲の推奨盤として紹介されていたのがこのハイティンク盤。私もずっと気になっていたのですが、長らく廃盤で入手できませんでした。

そして2013年にレコードショップのタワーレコードがタワレコ限定リリースとしてようやく再発売され、私も購入して聴くことができました。限定版の良いところは、その後も安定して供給しているところで、発売から8年経った今でも在庫ありで購入することができます。

配信ストリーミングならすぐに聴けますけどね。

このアルバム、最初に聴いたときはFC2ブログ記事で書いたのですが、正直期待外れでオススメ度2にしていました。ハイティンクの解釈やコンセルトヘボウ管の演奏は良かったのですが、曇ったようなサウンドで薄暗い感じがして、音質が良いとは思えなかったためです。コンサートホールで屈指の音質の良さを誇るアムステルダムのコンセルトヘボウでの録音なのに、どこか曇っているのです。

また、冒頭のジャケット写真を見ていただきたいのですが、これがアルバムを物語っています。赤セピア色の木々の影の上に、1枚のくすんだ色の葉っぱ。枯淡のような寂しさを感じます。

ハイティンクが首席指揮者を務めていた当時のコンセルトヘボウ管は、オランダ独自の響きを伝統としてきた時代。「いぶし銀」と評される薄暗くて渋い音色が特徴的でした。ハイティンクの後任のリッカルド・シャイーが首席指揮者になってからはグローバル化が進んで豪華絢爛の響きに変わっていきましたが、80年代のコンセルトヘボウ管の演奏にはいぶし銀が随所で感じられます。

コンセルトヘボウ管のシューマンの交響曲全集は、ハイティンクの次の首席指揮者、シャイーが着任してすぐの1988年から1991年にかけて録音していて、こちらの記事で紹介しましたが、まだ30代中盤のフレッシュなシャイーとの演奏で私は結構好きです。

例えばハイティンク盤の交響曲第1番の「春」の冒頭のトランペットとホルンの響き。少し尖ったつんざくようなに演奏されていきます。これが例えばウィーンフィルや後のコンセルトヘボウ管だったら、もっとまろやかにハツラツと演奏したはずです。まだ垢抜けていないような印象で、演奏も輪郭がゴツゴツしているというか、少し野暮ったいところがあります。

私はハイティンクもコンセルトヘボウ管も好きですが、シューマンを聴くならもっと明るい音色が好みなので、このアルバムは私の中での決定盤ではないかなぁ、という印象です。

私はシューマンの交響曲に思い入れがあるのですが、指揮者の中でも演奏しない方も多くて、ヴィルヘルム・フルトヴェングラーカール・ベームオイゲン・ヨッフムなど、ドイツ・オーストリア音楽に定評のあった指揮者でも第4番は演奏しましたが4曲全てを録音というのはやっていないですし、意外にも人気指揮者で全集をレコーディングしているのが珍しいです。

他にもレナード・バーンスタイン指揮ニューヨーク・フィルハーモニック(1958-60年、FC2ブログ記事)、ゲオルグ・ショルティ指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(1967-69年)ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(1971年、FC2ブログ記事)、バーンスタイン指揮ウィーンフィル(1984-85年、FC2ブログ記事)、ダニエル・バレンボイム指揮シュターツカペレ・ベルリン(2003年、FC2ブログ記事)、シャイー指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団のマーラー編曲版による全集(2006-07年)なども聴きました。

色々と聴きましたが、ラファエル・クーベリック指揮ベルリンフィル(1963-64年)と、ヴォルフガング・サヴァリッシュ指揮シュターツカペレ・ドレスデン(1972年、FC2ブログ記事)の2つのアルバムが気に入っています。

サー・サイモン・ラトルがベルリンフィルの自主レーベルの第1弾でリリースした交響曲全集も気にはなっているので聴いてみたいですが、値段が高くて(2枚で5,720円)手が出づらいところです。

ハイティンクのオーソドックスな解釈とコンセルトヘボウ管の卓越した技術で聴ける安定のシューマン交響曲全集。私はシューマンを聴くならもっと明るい音色が好みなので、オススメ度は少し下げますが、日本の音楽評論家からも定評のあるアルバムです。

オススメ度

評価 :3/5。

指揮:ベルナルト・ハイティンク
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
録音:1981年11月(第3番), 1982年2月(マンフレッド), 1983年2月(第1番), 1984年1月(第2番), 12月(第4番, ゲノヴェーヴァ), コンセルトヘボウ

iTunesで試聴可能。

特に無し。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。