ルーマニア出身で個性的な指揮者セルジュ・チェリビダッケ。最晩年の1995年9月にミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団とブルックナーの交響曲第9番をライヴ録音しています。全曲で76分50秒という遅さでじっくりと描いたブルックナーの未完の最後のシンフォニー。長時間露光した星空の写真のように、チェリビダッケが描いた軌跡とは。
セルジュ・チェリビダッケが最も得意とした作曲家がブルックナー。第8番についても録音がいくつかありますが、晩年の1993年9月のミュンヘンでのライヴ録音は極めつけの遅さ。これでもかというほどブルックナーの音を丹念に描いた個性的な演奏です。オランダのエジソン賞受賞盤。
1978年からロサンゼルス・フィルハーモニックの音楽監督を務めたカルロ・マリア・ジュリーニ。最初のシーズンでベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」を取り上げました。1960年に初めてレパートリーに入れて一度封印した「英雄」を1977年に再度学び直し、そしてロスフィルと録音に臨みました。しっかりとした骨格に歌心が溢れます。
フランツ・リストの傑作ファウスト交響曲。オーケストラとテノールを合唱による壮大な曲で、ゲーテのファウストの登場人物3人の性格がそれぞれ描かれています。サー・ゲオルグ・ショルティは1986年11月にシカゴ交響楽団と録音し、米国グラミー賞を受賞しました。
レパートリーが限られたカルロス・クライバーはシューベルトについては交響曲2曲のみ。第3番と第7番「未完成」で、どちらも1978年9月にウィーンフィルと録音しています。ウィーンの自発的な響きで、ゾクゾクとする雰囲気と躍動感があるクライバーらしい熱演です。
オーストリア出身のピアニスト、フリードリヒ・グルダはモーツァルトやベートーヴェンを得意としました。1974年9月に録音したモーツァルトのピアノ協奏曲第20番では、クラウディオ・アバド指揮ウィーンフィルと協演。力強さと気品がある演奏で、第3楽章のカデンツァはフンメルとベートーヴェンをミックス。作家の百田尚樹さんも推薦。
シューベルトをあまり録音しなかったサー・ゲオルグ・ショルティ。交響曲第8番「ザ・グレート」は1981年に、第7番「未完成」と第5番は1984年にそれぞれウィーン・フィルハーモニー管弦楽団を指揮して録音しました。シューベルトを熟知したウィーンフィルらしい温かさと、ショルティのキビキビとしたスタイルがマッチした演奏です。
ドイツのバイエルン放送交響楽団とオランダのロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の両方の首席指揮者を務めたマリス・ヤンソンス。ベートーヴェンについても得意としていましたが、バイエルン放送響とは交響曲全集を始め再録音もあるのに対し、コンセルトヘボウ管とは第2番と第5番「運命」のライヴ録音があるだけなのです。
ベートーヴェンの交響曲の中でも人気のある第5番「運命」と第7番。クラシック音楽をこれから聴き始める方にもファーストチョイスとしておすすめしたいのが、ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮のベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の1970年代の録音。スッキリとした洗練されたハーモニーが特徴的です。
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