スイスの名門オーケストラ、チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団が音楽監督のパーヴォ・ヤルヴィと来日公演をおこなっています。

2019年の音楽監督就任以来、レコーディングでも充実した活躍を見せるヤルヴィとトーンハレ管。このブログでもブルックナーの録音を紹介しています。第7番 (2022年)第8番 (2022年)第9番 (2023年)

2023年10月以来、2年7ヶ月ぶりの来日公演。その5月19日(火)のサントリーホールでの演奏会を聴いてきました。

先週のミュンヘンフィルの演奏会ではドイツ国旗が掲げられていたサントリーホール前。今夜はスイスの国旗が風にはためいていました。

カーテンコールも含めて撮影NGだったので、記事に載せられる思い出は少なめです。

プログラムは

  • シューマン:歌劇『ゲノフェーファ』序曲 Op.81
  • ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 Op.77 (独奏: ジャニーヌ・ヤンセン)
  • (アンコール) J.S.バッハ: 無伴奏パルティータ第2番サラバンド
  • チャイコフスキー:交響曲第5番 Op.64
  • (アンコール) ヒューゴ・アルヴェーン: 付随音楽『グスタフ2世アドルフ』 Op.49より第7曲エレジー

プログラムの前半はシューマン、ブラームスとドイツ音楽で固めました。第1ヴァイオリンが16人編成 (ヴァイオリン協奏曲のときは14人編成)で指揮者の左から右へ第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンがある対向配置。大規模な編成でも各楽器の音色がクリアに聴こえる透明感がこのオケの特徴。

『ゲノフェーファ』序曲ではヤルヴィが着火するように情熱がほとばしる演奏で、ずっと聴きたかったトーンハレ管が生演奏ではこんなにもすごいのかと鳥肌が立ちました。

そしてブラームスのヴァイオリン協奏曲では朱色のドレスで登場したヤンセン。燃えるようなこの曲にぴったりですね。ちなみにベルリンフィルに1月に演奏したときに同じ曲を演奏してそのときは赤色のドレスだったのでした。絶対的な存在であるヤンセンがオケのメンバーと掛け合うようにアイコンタクトしていたのが印象的。

スタンディングオベーションをする方もいて、アンコールでは熱気を冷ますようなJ.S.バッハの無伴奏パルティータでしっとりと。

後半はヤルヴィが得意とするチャイコフスキー

後半はチャイコフスキーの交響曲第5番。既にヤルヴィはトーンハレ管と交響曲全集を完成させているオハコとも言えるレパートリーです。ユニークなのは4つある楽章の間で指揮棒を持つ手を下ろさずにアタッカで続けたこと。これにより楽章の切れ目がなくなり、単1楽章のようにギュッと濃縮した世界が描かれました。聴く側としては咳払いをするタイミングを失いましたが笑

濁らないトーンハレ管の響きで木管、金管までもが明晰にクリアに聴こえます。残響豊かなサントリーホールですが、今宵はドライな響きに聴こえました。オーケストラ、作品ともに手の内に入れたヤルヴィのタクトで、第1楽章は外面的に激しさ、そして第2楽章は内面的な感情が描かれ、第3楽章はロマンティックなワルツ。チェロのうまさが光ります。ヤルヴィのテンポ・ルバートや燃えるような情熱、そしてトゥッティが決まった後の休符では、音が引くまで静かに見守る聴衆との一体感が生まれました。これはすごい演奏を聴きました。

アンコールにはヒューゴ・アルヴェーンのエレジー。私は初めて聴いた曲ですが、どことなくシベリウスのようなオーボエやクラリネットの使い方をするので北欧の作曲家かなと思ったらスウェーデン出身の作曲家でした。

ドイツ、ロシア、そしてスウェーデンとまさにヨーロッパの音楽の結晶をスイスの名門オーケストラで聴く醍醐味。贅沢なコンサートでした。

ヴァイオリン:ジャニーヌ・ヤンセン
指揮:パーヴォ・ヤルヴィ
チューリヒ・トーンハレ管弦楽団
演奏:2026年5月19日, サントリーホール

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