2021/07/20更新: ティーレマン指揮ウィーンフィルの全集、クレンペラー指揮フィルハーモニア管の全集を追加しました。
2021/04/29更新: カラヤン指揮フィルハーモニア管の全集を追加しました。
2021/04/13更新: クリュイタンス指揮ベルリンフィルの全集を追加しました。
2021/04/08更新: フルトヴェングラー指揮ウィーンフィル他の全集を追加しました。
2020/12/31更新: アバド指揮ウィーンフィル、ネルソンス指揮ウィーンフィルの全集を追加しました。
2020/11/28更新: ヨッフム指揮ベルリンフィル&バイエルン放送響の全集を追加しました。
2020/09/25初稿
2020年はベートーヴェンの生誕250年
今年2020年は、作曲家ベートーヴェンの生誕250年。先日のバーンスタイン/ウィーン国立歌劇場管のフィデリオの感想記事を書いたが、交響曲全集は新しいのを聴いていないことに気付いて驚いている。気になるアンドリス・ネルソンスとウィーンフィルの全集、そろそろ聴いてみようかと検討中。
16の交響曲全集(選集)からオススメを紹介
これまでFC2ブログの音楽の羅針盤で紹介した交響曲全集(一部は選集)は13個、さらに2020年になって3個、2021年になってから2個の全集を追加した。クラシック音楽の愛好家の中にはもっと数多く聴いている方もいるので、決して多いとは言えないのだが、それなりにオススメしたいものもあるので、このページでまとめて紹介したい。どれも良いところがある演奏だが、1つだけ取り上げるなら、1980年代のゲオルグ・ショルティ指揮シカゴ交響楽団の全集、2つまで良いと言われたらラファエル・クーベリック指揮と様々なオーケストラによる全集を選びたい。
アンドリス・ネルソンス/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(2017-2019年)
ドイツ・グラモフォンレーベルがベートーヴェン生誕250周年に合わせてリリースした、交響曲全集。今乗りに乗っている指揮者、アンドリス・ネルソンスがウィーンフィルを指揮したライヴ録音。目の前でオーケストラが演奏しているかのような音質の素晴らしさで、これぞウィーンフィルの響き、という演奏が楽しめます。
第3番「英雄」や第9番「合唱付き」ではドラマ性が薄い印象ですが、特に第5番「運命」、第6番「田園」はオススメです。
クリスティアン・ティーレマン/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(2008-2010年)
ティーレマンがウィーンフィルと1年半かけて行ったベートーヴェンチクルスのライヴ録音。現代のベーレンライター新校訂版の楽譜や通常配置のフォーメーションでのベートーヴェン演奏にアンチテーゼを唱えるかのように、ティーレマンはブライトコプフ旧版の楽譜を使い、伝統的な対向(両翼)配置での演奏をおこないました。
「懐古主義的」や「保守派」という意見もありますが、非常にゆったりとしたテンポでウィーンフィルらしからぬ骨太の響きで演奏されていくベートーヴェンです。
C MajorレーベルでDVDとBlu-rayがリリースされ、ソニークラシカルからも映像作品の音源だけを抽出してCD化されています。
マリス・ヤンソンス/バイエルン放送交響楽団(2007-2012年)
熟成されたマリス・ヤンソンスの音楽作りに、バイエルン放送交響楽団の透明感のある響き。本当にオーソドックスで、直近の録音では最も安心して聴ける演奏でしょう。
リッカルド・シャイー/ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団(2007-2009年)
ゲヴァントハウス管を再生させたと言われる、リッカルド・シャイー。ゲヴァントハウス管らしい重厚感はそのままで、速めのテンポでスピード感のある演奏。
肥大化するこの100年の演奏トレンドを見直し、原点に立ち返った豪速球のような演奏です。
ドイツのエコー・クラシックスの年間指揮者賞を受賞。
サー・サイモン・ラトル/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(2002年)
新時代を築くベートーヴェン演奏で、21世紀初期のベートーヴェン録音として、前述のラトル/ベルリンフィルの録音とこのラトル/ウィーンフィルの録音が話題。
ラトルがウィーンフィルを自在にドライヴし、斬新なベートーヴェン像を打ち立てている。好みはかなり分かれるとは思います。
クラウディオ・アバド/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(2000-2001年)
第9番「合唱付き」は2000年のベルリン・フィルハーモニーでのライヴ。その後クラウディオ・アバドが胃癌で倒れ、復帰した後の2001年2月のイタリア、聖チェチーリア音楽院で演奏した第1番〜8番が収録。ライヴ録音ということもあり、激しいパッションが出ています。
カルロ・マリア・ジュリーニ/ミラノ・スカラ座フィルハーモニー管弦楽団(1991-1993年)
ジュリーニ晩年のミラノ・スカラ座との演奏。このコンビでは第9番は録音していないので、厳密には全集ではないですが、ゆったりとしたテンポで、旋律を見事に引き出した演奏はかなり個性的です。
オススメは第8番。歌うような旋律をこれ以上に引き出せた指揮者はいないのでは、と思うほどです。
サー・ゲオルグ・ショルティ/シカゴ交響楽団(1986-1989年)
ショルティとシカゴ響による2回目の全集。壮大なスケールはそのままに、滑らかさが加わり素晴らしい演奏に仕上がっています。特に交響曲第3番「英雄」の重厚感と美しさには脱帽します。
クラウディオ・アバド/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(1985-1988年)
クラウディオ・アバド初のベートーヴェン交響曲全集となった、ウィーンフィルとのライヴ録音。1986年にウィーン国立歌劇場の音楽監督に就任し、ウィーン時代が始まるアバドだが、心身ともに充実していた時期の演奏で、ウィーンフィルの伝統的な響きを保ちつつもアバドらしい情熱をスパイスした名演になっています。
ベルナルト・ハイティンク/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団(1985-87年)
オランダのロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団が首席指揮者指揮者のベルナルト・ハイティンクとともに録音した全集。コンセルトヘボウ管の創立100周年、そしハイティンクが退任した1988年にリリースされました。
ハイティンクにとってはロンドン・フィルハーモニー管弦楽団以来の2回目の全集で、オーソドックスな解釈ですが、心身ともに充実していて演奏に覇気があります。豊かなコンセルトヘボウ・サウンドも聴き応え十分。特に第7番がオススメです。
1988年度の日本のレコード・アカデミー賞「交響曲部門」を受賞した名盤です。
ヘルベルト・フォン・カラヤン/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(1982-1984年)
カラヤンとベルリンフィル3回目の全集。前回の全集で示した機能性よりも、円熟したハーモニーがより引き出されています。
ヘルベルト・フォン・カラヤン/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(1975-1977年)
ヘルベルト・フォン・カラヤンとベルリンフィル2回目の全集。スタイリッシュで聴きやすい音楽作りで、カラヤン美学を感じます。
サー・ゲオルグ・ショルティ/シカゴ交響楽団(1972-1974年)
ショルティとシカゴ響の1回目の全集。米国グラミー賞受賞。
壮大なスケールな演奏が特徴。シカゴ響のパワフルさと弦の美しさは比類なきものです。
カール・ベーム/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(1970-1972年)
素朴で実直なベームな指揮に、ウィーンフィルの美音が掛け合わさるオーソドックスな演奏。交響曲第6番「田園」はこのコンビの良さが最大限に生きた名演で、定盤として知られています。
第九のアルバムが日本レコードアカデミー賞を受賞。
ラファエル・クーベリック/バイエルン放送交響楽団他(1970-1975年)
ラファエル・クーベリックが9つのオーケストラと録音した交響曲全集。生き生きとしたサウンドで、自然体。味付けが濃すぎることもないし、薄すぎることもないです。煽りが行きすぎることもなく、絶妙なバランス。
アンドレ・クリュイタンス/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(1957-1960年)
ベルリンフィル初のベートーヴェン交響曲全集は、アンドレ・クリュイタンス指揮によるものでした。ベルギー出身でフランス音楽を得意としたクリュイタンスですが、この全集を聴くとフツーにすごいんです。堂々とした風格あるベートーヴェンで、彼がなぜ最初の交響曲全集に選ばれたのか、納得できる名演奏でした。
オットー・クレンペラー/フィルハーモニア管弦楽団(1955-1960年)
重鎮オットー・クレンペラーがフィルハーモニア管弦楽団を指揮した交響曲全集。カラヤンと全集を録音したばかりのフィルハーモニア管ですが、クレンペラーとともに全曲ゆったりとしたテンポで丁寧にポリフォニーを弾き分けています。
オイゲン・ヨッフム/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団&バイエルン放送交響楽団(1952-1961年)
オイゲン・ヨッフムがベルリン・フィルハーモニー管弦楽団とバイエルン放送交響楽団を振り分けて録音した、ヨッフム1回目のベートーヴェンの交響曲全集。
音質こそはとても悪いのですが、この時代のベルリンフィルらしい重厚感あるサウンドで、交響曲の偶数番号も奇数番号も力強くシンフォニックに演奏しています。また、設立間もないバイエルン放送響の透明感ある響きも交響曲第1番では実にマッチしています。
ヘルベルト・フォン・カラヤン/フィルハーモニア管弦楽団(1951-1955年)
ヘルベルト・フォン・カラヤン初のベートーヴェン交響曲全集は1951年から1955年まで、EMIレーベルでフィルハーモニア管弦楽団を指揮しておこなわれました。後のベルリンフィルとの再録音では聴かれないスリリングでフレッシュな演奏で、私の中ではカラヤンのベートーヴェンで一番気に入っています。第9番「合唱付き」は1955年の録音でモノラルとステレオの2種類が収録されていますが、どちらも音質がイマイチなのが惜しいです。
フルトヴェングラー/ウィーンフィル、ストックホルムフィル、バイロイト祝祭管(1948-1954年)
往年の名指揮者、ヴィルヘルム・フルトヴェングラーがウィーン・フィルハーモニー管弦楽団と第1番〜第7番、ストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団と第8番、そしてバイロイト祝祭管弦楽団と第9番を録音したCD BOX。2010年にリマスターされた録音で聴きましたが、第6番と第8番以外はそこまで音質も気にならず、演奏に集中できました。とにかく生命力に満ちた演奏で、特に「バイロイトの第九」と呼ばれた1951年のバイロイト音楽祭でのライヴ録音はすごい、の一言です。
メンゲルベルク/コンセルトヘボウ管(1940年)
オールドファンの多いメンゲルベルクの演奏。録音はかなり古いですが、当時ならではの自由さや濃厚なロマンが楽しめます。
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