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ブルックナーの傑作、交響曲第8番
作曲家アントン・ブルックナーの交響曲の中で、交響曲第8番ハ短調はとりわけ人気の高い作品。雄大でスケールの大きな曲想ですし、第3楽章ではうっとりするような美しさ。そして第4楽章では高らかなファンファーレで勝利の凱旋を伝えるような爽快感があります。
これだけの名曲ですので、名演・名盤も数多いですが、私も今までたくさんのレコーディングを聴き、Blu-rayで映像を観てきました。その中でもオススメを紹介していきたいと思います。
クーベリック、カラヤン、ショルティ、ジュリーニ、ヴァントから、ハイティンク、シャイー、ヤンソンス、ティーレマン、そしてネルソンスまで
この曲を多く聴いてきた印象ですが、古くは1960年代のベルナルト・ハイティンク、ヘルベルト・フォン・カラヤン、ラファエル・クーベリックから、2019年のアンドリス・ネルソンスやクリスティアン・ティーレマンの最新録音までカバーしています。
ただ、名演と言われているフルトヴェングラーやクナッパーツブッシュ、朝比奈 隆など、聴けていない録音もまだまだたくさんありますので、今後も新たに聴いたものがあればこの記事に追記していきたいと思います。
スコアの版の情報も
Wikipediaでも交響曲第8番の版問題という項目に説明がありますが、ブルックナーは作品に何度も手を加えた改訂癖がありまして、交響曲第8番も第1槁(1887年版)と第2槁(1890年版)があり、さらに誰が校訂したかによって、ローベルト・ハース校訂版や、レオポルト・ノーヴァク校訂版などがあります。
ブルックナー国際協会では、第2槁ノーヴァク版を交響曲第8番を正としていますが、指揮者によっては、音楽がカットされていない第2槁ハース版を使う場合もあります。
この記事では、どの版を使ったのかの情報も載せていきます。
ベルナルト・ハイティンク/コンセルトヘボウ管 (1960年)
第2槁ハース版
若かりしハイティンクの切れ味鋭い演奏
ベルナルト・ハイティンクはブルックナーを何度も演奏した指揮者ですが、1960年からアムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団を指揮してブルックナーの交響曲全集に取り組んでいます。
交響曲第8番はその最初を飾ったもので、まだ昔ながらのスタイルを保っているコンセルトヘボウ管のサウンドと、若かりし頃の切れ味鋭い指揮がマッチしています。
ハース版を使っているのにトータルの演奏時間が74分という驚異的な速さです。
カール・シューリヒト/ウィーンフィル (1963年)
第2槁ハース版とノーヴァク版を独自にカット
シューリヒトとウィーンフィルによるありのままのブルックナー
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団と良好な関係を築いたカール・シューリヒト。ブルックナーの交響曲第8番を1963年12月に録音しています。削ぎ落とされた質実剛健の響きで、ブルックナーの大作をありのままに描きます。ハース版第2稿をベースにしながらもシューリヒトならではのカットをおこなっているスコアにも注目です。
オイゲン・ヨッフム/ベルリンフィル (1964年)
第2槁ノーヴァク版
ブルックナーの大家、ヨッフムの最初の全集から
オイゲン・ヨッフムはブルックナーを得意とした指揮者で、ブルックナー国際協会の会長も務めたことがありました。
交響曲全集も2回録音しました。ノーヴァクによる校訂にも協力し、レコーディングは2回ともノーヴァク版を使っています。
最初の全集での交響曲第8番は、1964年にベルリンフィルと録音したもの。
聴きやすさにはこだわらず、妥協しない響きでブルックナーの楽曲の持つ素の部分をさらけ出したかのような演奏です。
ラファエル・クーベリック/バイエルン放送響 (1965年来日公演)
第2槁ハース版
クーベリックとバイエルン放送響の来日公演でのライヴ!
1965年4月にラファエル・クーベリックとバイエルン放送交響楽団は来日公演をおこないました。大阪のフェスティバルホールで演奏されたブルックナーの交響曲第8番が音源として残っており、2021年4月にリリースされたばかり。
バイエルン放送響らしいスッキリとしたハーモニーで、金管は物足りなさが感じるかもしれませんが、クライマックスでは速めのテンポで混沌とした世界を描き、そして最後も一気に駆け込み、ティンパニも見事に決まっています。
ヘルベルト・フォン・カラヤン/ベルリンフィル (1966年来日公演)
第2槁ハース版
カラヤンとベルリンフィルの来日公演でのライヴ!
1966年4月から5月にかけて、ヘルベルト・フォン・カラヤンとベルリンフィルが来日して東京、札幌、岡山、松山、福岡、そしてまた東京と3週間で多数の演奏会をおこないました。
5月2日の東京文化会館でのブルックナーの交響曲第8番のライヴ録音がこちらですが、カラヤンこだわりのハース版で直球勝負の演奏を聴かせてくれます。マスター音源の劣化による音質が残念ですが、最後の音を聴き終わる前の聴衆の割れんばかりの拍手が当時の熱気を物語っています。
ゲオルグ・ショルティ/ウィーンフィル (1966年)
第2槁ノーヴァク版
オペラの世界を交響曲に。緊張感と美しさ、そして大迫力
ゲオルグ・ショルティはウィーンフィルとヴァーグナーの楽劇「ニーベルングの指環」を全曲セッション録音するという快挙を達成しましたが、同時期に交響曲もいくつか録音しています。
ブルックナーの交響曲第8番は1966年の演奏で、オペラの世界を交響曲に持ってきたようなスケール。緊張感や美しさ、そして大迫力でこの大作を演奏しきっています。
ヘルベルト・フォン・カラヤン/ベルリンフィル (1975年)
第2槁ハース版
カラヤン/ベルリンフィルの交響曲全集の最初を飾った録音
ヘルベルト・フォン・カラヤンはベルリンフィルと1975年から1981年にかけてブルックナーの交響曲全集を完成させました。
交響曲第8番はその最初を飾っ録音で、1975年1月に録音した後に3ヶ月寝かしてまた4月に録音をおこなっています。
長い時間を掛けてじっくりレコーディングすることで、細部まで磨き抜かれた演奏になった一方で、全曲を通しで聞いてみると、どこかチグハグな印象もあり、オススメはしづらい演奏です。
カール・ベーム/ウィーンフィル (1976年)
第2槁ノーヴァク版
スコアに忠実ながら真髄を浮き彫りに
カール・ベームはブルックナーを得意とし、交響曲全集こそ完成しませんでしたが、残された録音はどれも名演です。
交響曲第8番は1976年の録音で、スコアに忠実ながら不気味さ、緊張感、そして穏やかさ、調和を描いています。
迫力は弱いかもしれませんが、ブルックナーの真髄を浮き彫りにした名盤です。
オイゲン・ヨッフム/ドレスデン管 (1976年)
第2槁ノーヴァク版
オイゲン・ヨッフム2回目の全集から
オイゲン・ヨッフムは2回目のブルックナー交響曲全集を1975年から1980年にシュターツカペレ・ドレスデンと録音しています。1回目よりさらにエッジを効かせた演奏で、交響曲第8番もより尖った演奏になっています。
カラヤン/ウィーンフィル (1979年聖フローリアン・ライヴ)
第2槁ハース版
カラヤンのブルックナーを聴くならこれ!
ブルックナーが生前オルガニストとして活躍し、没後に埋葬された聖フローリアン修道院。ヘルベルト・フォン・カラヤンは1978年から79年にかけてウィーンフィルに客演してザルツブルク音楽祭、ムジークフェラインザールでブルックナーの交響曲第8番を繰り返し演奏しました。1979年6月4日にはその集大成として聖フローリアン修道院で演奏をおこない、映像としてリリースされています。ティンパニを1人→2人、トランペットも3人→4人と増強しています。音源のみのCD 化はされていませんが、ギリシャの彫刻のような引き締まった筋肉と美しさ。まさにカラヤンの頂点といえます
ベルナルト・ハイティンク/コンセルトヘボウ管 (1981年)
第2槁ハース版
ハイティンク/コンセルトヘボウ管の再録音で、長大に
ベルナルト・ハイティンクは1978年から1981年にコンセルトヘボウ管を指揮してブルックナーの後期交響曲を再録音しました。交響曲第8番は全集のときと同じハース版を使用していますが、テンポがかなりゆったりになり、トータルで85分を要する長大な演奏へと変化しています。
カルロ・マリア・ジュリーニ/ウィーンフィル (1984年)
第2槁ノーヴァク版
長大な演奏ながらもしっかりとした骨格を持たせた演奏
カルロ・マリア・ジュリーニは1980年代にウィーンフィルとブルックナーの後期交響曲を録音しています。
1984年の交響曲第8番は日本のレコードアカデミー賞を受賞した名盤ですが、ノーヴァク版なのにトータルの演奏時間が88分という長大さ。
しかし、しっかりとした骨格を持たせてメリハリが効いた演奏に仕上がっています。
ギュンター・ヴァント/北ドイツ放送響 (1987年リューベック・ライヴ)
第2槁ハース版
残響の長いリューベック大聖堂でのライヴ!
1987年8月のシュレスヴィヒ=ホルシュタイン音楽祭でブルックナーの交響曲第8番を演奏した首席指揮者のギュンター・ヴァントと北ドイツ放送交響楽団。会場となったリューベック大聖堂は残響が長く、全休符の音符でも残響が消えるまで3秒ほど掛かっています。ヴァント自身は音響に不満で1993年に再録音をおこなうことになりますが、宙に漂うような余韻に浸れるのはこの録音ならではでしょう。
ヘルベルト・フォン・カラヤン/ウィーンフィル (1988年)
第2槁ハース版
最晩年のカラヤンとウィーンフィルの雄大なブルックナー
ヘルベルト・フォン・カラヤンは、最晩年はウィーンフィルとの録音が多くなり、ゆったりとしたテンポでこれまでの集大成のような味わい深い演奏をおこなってきました。
交響曲第8番についても雄大で、じっくりと噛みしめるような演奏に仕上がっています。
ギュンター・ヴァント/北ドイツ放送響 (1990年サントリーホール・ライヴ)
第2槁ハース版
ヴァント&北ドイツ放送響の初来日公演、伝説的な第8番の大演奏!
1990年秋に首席指揮者を務めていた北ドイツ放送交響楽団とのコンビで初の来日公演をおこなったギュンター・ヴァント。後のヴァント・ブームへとつながる演奏会では、11月3日にサントリーホールで交響曲第8番の伝説的な演奏をおこないます。慈愛に満ちながらもエネルギーもある名演。サントリーホールの音響も見事です。
サー・ゲオルグ・ショルティ/シカゴ響 (1990年ライヴ)
第2槁ノーヴァク版
ショルティとシカゴ響のサンクトペテルブルクでのライヴ!
サー・ゲオルグ・ショルティは1990年11月にソ連のサンクトペテルブルクで演奏会をおこなっていますが、そこで演奏されたのがブルックナーの交響曲第8番。
シカゴ響のパワフルな金管を鳴らしきったスケールの大きな演奏で、シカゴ響の明朗な響きを活かしきっています。特に第4楽章のフィナーレは圧巻です。
1966年のウィーンフィルとの旧録よりも第3楽章のアダージョが少し急ぎ気味になってしまったので、私は旧録のほうが好みです。
セルジュ・チェリビダッケ/ミュンヘンフィル (1993年ライヴ)
第2槁ノーヴァク版
普通のブルックナーに物足りなくなった方にオススメ。チェリビダッケ&ミュンヘンフィルの104分の超長大なライヴ録音
ルーマニア出身で、ドイツのミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団と長く共にしたセルジュ・チェリビダッケ。大胆な発言と個性的な解釈で知られる指揮者ですが、ブルックナーを最も得意としました。チェリビダッケのブル8は何種類か録音がありますが、旧EMI でライヴ・レコーディングされたのが1993年9月の演奏。ブルックナー指揮者としては珍しくノーヴァク版(第2稿)を採用していますが、4楽章合わせて104分という長大さ。ノーヴァク版の欠点とも言える第3楽章でフォルテッシモが連結される208〜209小節で、チェリビダッケは小さなクレッシェンドを生み出してつながりが不自然にならないような工夫をしています。普通のブルックナーに物足りなくなった方にオススメ。オランダのエジソン賞受賞盤。
チェリビダッケ/ミュンヘンフィル (1994年リスボン・ライヴ)
第2槁ノーヴァク版
チェリビダッケ&ミュンヘンフィルの伝説のリスボン・ライヴの正規盤が登場
同じくチェリビダッケとミュンヘンフィルの演奏で私がオススメしたいのが2022年に正規盤がリリースされたばかりのリスボン・ライヴのレコーディング。1994年4月23日、ポルトガルの首都リスボンでの演奏会でブルックナーの交響曲第8番を演奏したチェリビダッケとミュンヘンフィル。ここでもトータル101分という長大な演奏を繰り広げましたが、晩年のチェリビダッケにしか出せない世界観、そしてどこまでも柔らかなミュンヘンフィルの響きなど、本当に素晴らしいです。中でも第3楽章アダージョはどこまでも続いてほしいと思ってしまうほど。
ジュゼッペ・シノーポリ/シュターツカペレ・ドレスデン (1994年)
第2槁ノーヴァク版
洗練されたシノーポリと古豪ドレスデンの響き
イタリア出身の指揮者ジュゼッペ・シノーポリはインテリ指揮者として知られ、フィルハーモニア管弦楽団とのマーラーの交響曲の解釈は特に個性的でした。同時期に録音されたブルックナーではシュターツカペレ・ドレスデンとのコンビで、その後1992年から首席指揮者に着任します。ブルックナーの交響曲第8番は1994年12月の録音ですが、ドレスデンの古豪の響きを活かして伝統に回帰しつつも重厚にはならず、シノーポリらしい洗練された美しいサウンドで魅了してくれます。ドレスデンと言えば、ヨッフム(1964年)とのえぐるような鋭さ、ティーレマン(2012年)との重厚でゆったりとした演奏もありますが、それらとも違うすっきりとしたシノーポリとのコンビの演奏が楽しめます。
ベルナルト・ハイティンク/ウィーンフィル (1995年)
第2槁ハース版
ハイティンクが「特別」と評したウィーンフィルとの録音
ベルナルト・ハイティンクは1985年からウィーンフィルを指揮してブルックナーの交響曲全集を開始させますが、4つの交響曲とテ・デウムを録音して全集が頓挫してしまいます。ウィーンフィルは「特別」で特にブルックナーでは音色と音楽の方向性が素晴らしいと評していたハイティンク。この第8番でも音楽はより自然体になり、ウィーンフィルの美音を活かした名演をおこなっています。日本のレコード・アカデミー賞とオランダのエジソン賞を受賞した名盤。
リッカルド・シャイー/コンセルトヘボウ管 (1999年)
第2槁ノーヴァク版
ブルックナーの交響曲全集を締め括った、まろやかなサウンド
リッカルド・シャイーはベルリン・ドイツ響とコンセルトヘボウ管を振り分けてブルックナーの交響曲全集を完成させました。交響曲第8番はその最後を飾ったもので、まろやかなコンセルトヘボウ・サウンドを活かして流麗な仕上がりになっています。
ギュンター・ヴァント/北ドイツ放送響 (2000年ムジークハレ・ライヴ)
第2槁ハース版
ヴァント&北ドイツ放送響の最晩年の演奏!
1991年に首席指揮者を退任してからも良好な関係を保っていたギュンター・ヴァントと北ドイツ放送交響楽団。2000年4月〜5月にムジークハレ(現在の呼び方はライスハレ)でブルックナーの交響曲第8番の演奏をおこないます。オーケストラに若干のミスはありますが、悟りの境地に達した慈愛に満ちたヴァントの最晩年の解釈を楽しめます。
ギュンター・ヴァント/ミュンヘンフィル (2000年ガスタイク・ライヴ)
第2槁ハース版
ヴァント&ミュンヘンフィルに客演!
晩年になって主要なオーケストラへの客演をおこなったギュンター・ヴァント。ブルックナーにゆかりのあるミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団に2000年9月に客演して本拠地のフィルハーモニー・イン・ガスタイクで第8番の演奏をおこないました。澄み切った美しい音色と華やかもある金管を兼ね備えるミュンヘンフィルとの特別な演奏で、慈愛に満ちています。ここでもライヴならではのミスがやや多めですが…
ギュンター・ヴァント/ベルリンフィル (2001年ライヴ)
第2槁ハース版
最晩年のベルリンフィルへの客演!
ブルックナーで定評のあるドイツの指揮者ギュンター・ヴァントは晩年になってベルリンフィルに客演するようになりますが、ブルックナーの交響曲の第4、5、7、8、9番をライヴで録音しています。第8番は最晩年の2001年1月の演奏で、温かさと慈愛を感じる名演。ヴァントこだわりのハース版第2稿による演奏です。英国のグラモフォン賞を受賞した名盤。
クリスティアン・ティーレマン/ドレスデン管 (2012年ライヴ)
第2槁ハース版
ティーレマンとの映像でのブルックナー交響曲全集より
2012年からシュターツカペレ・ドレスデンの首席指揮者に就任したクリスティアン・ティーレマン。何でも得意とする指揮者が多い中、ティーレマンはオペラに軸足を置き、中でもヴァーグナー、R.シュトラウスを得意とするドイツ音楽の重鎮。ブルックナーも得意としていて、2019年からウィーンフィルともブルックナーの交響曲全集に取り組んでいますが、2012年から2019年にシュターツカペレ・ドレスデンともライヴで9つの交響曲を映像で収録しています。交響曲第8番は2012年6月のドレスデン・ゼンパー・オーパーでのライヴ録音。ウィーンフィルの優雅な響きとは違い、野武士のような荒さを持つシュターツカペレ・ドレスデン。ゆったりとしたテンポで骨太の演奏をおこなっています。
マリス・ヤンソンス/バイエルン放送響 (2017年ライヴ)
第2槁ノーヴァク版
マリス・ヤンソンス晩年の極上のサウンド
マリス・ヤンソンスはブルックナーの交響曲をいくつか演奏しており、コンセルトヘボウ管とバイエルン放送響それぞれにライヴ録音もおこなっています。アプローチが全く異なるので聴き比べてみると面白いですが、バイエルン放送響との極上のサウンドで生み出したブルックナーのほうが私は好みです。
交響曲第8番は2017年11月の演奏で、ヤンソンスの音楽はさらに熟成され、そしてバイエルン放送響のハーモニーはさらに理想的なものに昇華しています。第3楽章の美しさは言葉に表せないです。
アンドリス・ネルソンス/ゲヴァントハウス管 (2019年ライヴ)
第2槁ノーヴァク版
ネルソンス×ゲヴァントハウス管のブルックナー・チクルス第5弾
2024年のブルックナー生誕200年のアニバーサリーに向けて、アンドリス・ネルソンスとライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団はブルックナーの交響曲全集を進めています。
第5弾となる最新録音が、2019年9月の交響曲第8番と12月の交響曲第2番のライヴ録音。交響曲第8番は、フィナーレで「速くせずに」という指示をまるっきり無視した特急の演奏をおこなっています。
クリスティアン・ティーレマン/ウィーンフィル (2019年ライヴ)
第2槁ハース版
ティーレマンとウィーンフィルのブルックナー・チクルス第1弾!
2024年のブルックナー生誕200年のアニバーサリーに向けて、クリスティアン・ティーレマンはウィーンフィルとブルックナーの交響曲全集の企画を進めています。第1弾が2019年10月の交響曲第8番のライヴ録音。
ハース版を使った長大な演奏で、聞き手に高い集中力を求めますが、最後まで聴き終わったときには思わずぐったりしてしまいます。
パーヴォ・ヤルヴィ/トーンハレ管 (2022年)
第2槁ノーヴァク版
「まさに頂点」の作品を澄み切った響きで!
チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団の首席指揮者としてブルックナーの後期交響曲3つの録音をおこなったパーヴォ・ヤルヴィ。第8番は第2弾のリリースで2022年9月のセッション録音。改修されたトーンハレのコンサートホールの響きを活かして両翼のオーケストラ配置にもこだわりを感じます。ヤルヴィが「第8番はまさに頂点」と語るこの作品をトーンハレ管の澄み切った響きで堪能させてくれます。第4楽章冒頭ではアジタート気味で入り、コサックの騎馬隊が走るのを彷彿とさせます。国際クラシック音楽賞2024の最優秀交響楽部門を受賞したアルバムです。
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コメント数:1
別の記事の シューリヒト × ウィーン は Apple Music で見当たらなかったので、こちらのおすすめの中から、ショルティ × ウィーン の演奏を聴きました。特に第3楽章が一つの楽章の中にいろんなドラマが展開されていて、すごく充実感を覚えました。第4楽章もイントロから緊迫感があってわくわくします。このあたり場面の作り方が本当にうまいなあと思います。